橋本大輝、史上最年少金!黄金の咆哮は天に届いた
東京五輪第6日 体操 ( 2021年7月28日 有明体操競技場 )
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男子個人総合決勝で橋本大輝(19=順大)が金字塔を打ち立てた。合計88・465点で金メダルを獲得し、五輪史上最年少の個人総合王者となった。3位で迎えた最終種目の鉄棒で鮮やかに逆転。体操ニッポン100個目のメダルを黄金の輝きで決めた。種目別鉄棒の決勝(8月3日)で2冠を狙う。北園丈琉(18=徳洲会)は86・698点で5位。日本の金メダルは13個となり、早くも16年リオデジャネイロの12個を超えた。
美しい逆転劇で、新時代の扉が開く。3位で迎えた最終種目の鉄棒。G難度「カッシーナ」などを決めた橋本が、着地も一歩でまとめた。逆転に必要な得点は14・534点だが、確信していた。頂点に手が届いたことを。何度も拳を突き上げ、得点が出る前に日の丸をまとう。戴冠が決まると、声にならない雄叫びを上げた。歓喜を表現する適切なワードは、浮かんでこなかった。
「もう、言葉で言い表せない。一番うれしい瞬間って言葉で言い表せないんだなって思った」
ドラマチックな6種目だった。床運動とあん馬の2種目で首位のロケットスタートを切ったが、つり輪で予定の難度が取れず。跳馬でもラインオーバーのミスがあり、4種目終了時点で4位に後退した。だが、平行棒の15・300点で息を吹き返すと、首位と0・467点差の鉄棒で鮮やかに逆転。五輪史上最年少での個人総合のタイトルは、体操ニッポン100個目のメダルだった。
「100個目を獲れたのは、前の人たちのおかげ。僕でいいのかなと思ったけど、獲れたのは光栄」
周囲から「無限」と称されるスタミナが強さの源だ。個人総合で五輪連覇を含め世界大会8連覇を達成した内村ですら、「あの高いDスコアで全種目できる練習量は凄い」と驚いた。幼少時は小児ぜんそくなどに悩まされて虚弱だったが、今は違う。ハードに鍛え上げ、新型コロナによる1年延期で急激に成長。技の難度を示すDスコアを6種目合計で19年から約2点も向上させ、世界のトップへ駆け上がった。
勝利の咆哮(ほうこう)はきっと天に届いた。19年11月10日、体操を始めた頃から送迎してくれた祖父・正尚さんが84歳で死去。愛情を注いだ孫が制したスーパーファイナルの結果を入院先の病院で知った2日後、全日本団体の演技を終えたタイミングで天へ旅立った。弱みを見せない橋本が泣いた。そして、胸に刻んだ。強くなることが恩返しになる、と。一番高い表彰台の中央。そこは、少しだけ天国に近い場所だった。
この日は、競技後も表彰式でも涙はなかった。「チャンピオンは涙を流さずに、常に前だけ見ているという強さを持っていきたい」。20年前の8月7日に生を受けた。「大輝」という名前には、両親の「大きく夏に輝けるように」という願いが込められている。10代最後の演技として、8月3日の種目別鉄棒で2冠に照準を合わせた。黄金に彩られた夏が、さらに輝きを増す。
【橋本 大輝(はしもと・だいき)】
☆生まれとサイズ 2001年(平13)8月7日生まれ、千葉県成田市出身の19歳。1メートル66、57キロ。
☆体操歴 6歳で体操を始め、千葉・佐原中から市船橋高に進み、現在は順大2年。
☆主な実績 16年の全国中学校大会は右足首骨折の影響で2種目しか演技できずに最下位。全国高校総体は18、19年に団体総合で連覇、個人総合は2年連続で2位。19年世界選手権には白井健三以来となる高校生代表として出場した。21年は全日本選手権で初優勝を飾る。
☆憧れの選手 順大の先輩で16年リオデジャネイロ五輪団体総合金メダルメンバーの田中佑典(コナミスポーツ)。
☆試合前ルーティン 深呼吸&良いイメージを脳内に描く。
☆座右の銘 努力に勝る天才なし。
≪20歳200日を更新≫大会組織委は、体操男子個人総合の橋本が19歳355日で同種目の史上最年少金メダリストとなったと発表した。92年バルセロナ五輪のビタリー・シェルボ(旧ソ連合同チーム)の20歳200日を塗り替えた。
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