バドミントンで国境を越えたリスペクト 中国ペアがフクヒロを称える、大ケガの広田へ「リスペクト」

[ 2021年7月29日 22:28 ]

東京五輪第7日 バドミントン女子ダブルス ( 2021年7月29日    武蔵野の森総合スポーツプラザ )

福島由紀、広田彩花組のもとに、中国の陳清晨、賈一凡組が駆け寄り、健闘を称え合う(AP)
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 国境を越えたリスペクトがあった。バドミントン女子ダブルス準々決勝の試合後。4強入りを逃した福島由紀(28)、広田彩花(26)組(丸杉Bluvic)のもとに、中国の陳清晨、賈一凡組が駆け寄り、健闘を称え合った。

 広田は限界を超え、最後まで大舞台を戦い抜いた。五輪直前の6月の合宿中に右膝前十字じん帯断裂。大会後には手術が決まっている大ケガにもかかわらず、4試合、コートに立った。この日の準々決勝では、第1ゲームを奪うなど意地も披露。敗れはしたが、最後まで諦めず果敢に攻め続けた。

 試合後には、こんな一幕があった。陳と賈が広田のもとへ寄って来て、右膝を気にかけながら軽くタッチ。最後は互いのペアがハグをして、言葉を交わした。賈は「日本の選手は、一番のライバル」と認め、大ケガしながらも戦った広田について「ここまで頑張って、あそこに立っているだけでリスペクトしている」。この思いは広田と福島にも伝わった。福島は「凄くうれしかった。コートではライバルだけど、コートを離れたら良い仲」と感謝し、広田は「こういうのがスポーツの良いところ。中国ペアと(試合を)やれて楽しかった」と充実した表情で語った。コート上に国境はなかった。

 夢の舞台を終えた2人。絶望の淵からはい上がってきた後輩へ、福島は伝えた。「ありがとう。よく頑張ったね」。このペアで、東京五輪で、プレーできたことがうれしかった。広田は「2人で思いきって、プレーできたことが幸せだった。福島先輩には感謝しています」。フクヒロペアの東京五輪は幕を閉じた。

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