飛び込み王子・14歳玉井 五輪へ苦手演技克服の“宿題” 高飛び込み決勝8位

[ 2021年5月5日 05:30 ]

飛び込みW杯兼東京五輪最終予選第4日 ( 2021年5月4日    東京アクアティクスセンター )

男子高飛び込み決勝、玉井の2本目の演技(撮影・会津 智海)
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 男子高飛び込み決勝で、東京五輪代表の玉井陸斗(14=JSS宝塚)は424・00点で8位だった。予選、準決勝から演技構成の難易度を上げて入賞を果たしたが、世界トップとの差を痛感。目標に掲げる日本飛び込み界初の五輪メダルに向け課題を残した。

 世界の壁が14歳の玉井に立ちはだかった。1~4本目は安定した演技で一時4位につけたが、5本目の307C(前逆宙返り3回半抱え型)で入水が大きく乱れる失敗。リズムを崩した最終6本目も精彩を欠いた。424・00点で8位入賞したが、自己ベストの528・20からは100点以上低い。「国際大会は点が出にくいと感じた。五輪のメダルはまだまだ遠い」と厳しい表情を浮かべた。

 決勝は3本目に109C(前宙返り4回転半抱え型)を入れ、予選、準決勝から演目構成の難易度を上げた。今大会の予選通過が五輪代表内定条件だったため、3月以降は難易度の低い予選仕様の演目を重点強化。109Cはこの日昼の練習で約1カ月ぶりに1本飛んだだけで臨み、本番では77・70点と上々のダイブだった。12月に左肘痛を発症した影響もあり、決勝もベストの構成ではない。五輪本番では自己ベストを記録した昨年9月の日本選手権と同じ演目に戻す方針で伸びしろはある。

 中国勢をはじめトップ選手の大半が出場を見送る中、3位と64・55差。採点競技で単純比較はできないが、19年世界選手権に当てはめると入賞ラインにも大きく及ばない。それでも玉井は「初の大きな国際大会で入賞できたことは素直にうれしい。五輪ではまず入賞、調子が良ければメダル争いをしたい。調子は上がっているので、このまま突っ走りたい」と視線を上げた。307Cなど苦手演技の克服は急務だが、世界を知りモチベーションに火がついたことは大きな収穫だ。

 《英雄・デーリーから金言》優勝したトーマス・デーリー(26=英国)が玉井に金言を贈った。15歳で世界王者となり、東京五輪が4大会目となる飛び込み界の英雄。過去の自分と重ね合わせ「玉井は本当に凄い選手。地元開催で重圧もあると思うが、楽しんでほしい」とアドバイスした。玉井は憧れの存在のダイブを目の当たりにし「準決勝は調子が悪かったが、決勝では全ての演技を決めてさすがだと思いました」と語った。

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