松田瑞生 悔し涙の初優勝 “最強の補欠”は変わらず「ふがいない走りで終わった」

[ 2021年3月15日 05:30 ]

名古屋ウィメンズマラソン  ( 2021年3月14日    名古屋市・バンテリンドームナゴヤ発着 )

両手を挙げ、笑顔でゴールする松田瑞生(撮影・椎名 航)
Photo By スポニチ

 東京五輪代表補欠の松田瑞生(25=ダイハツ)が2時間21分51秒で初優勝し、五輪マラソンチーム“最強の補欠選手”の意地を見せた。風速5メートルを計測した強風の悪条件でも一定のペースを刻み、22キロ付近からは独走状態。ペースメーカーが外れた30キロ以降も失速しなかったが、昨年の大阪国際女子でマークした自己記録には4秒及ばなかった。24年パリ五輪マラソン代表を目指す佐藤早也伽(26=積水化学)が2時間24分32秒で2位。五輪代表補欠の小原怜(30=天満屋)は2時間32分3秒で18位だった。

 優勝しても「五輪補欠」という立場は変わらない。ただ、松田を突き動かしたのは1年前に代表選考に敗れた「過去の自分を超える」ためだった。20年1月にマークした自己記録を更新できず「ふがいない走りで終わってしまった」と悔し涙を流したが、ひとしきり泣いた後「負けた時に支えてくれた人に元気を与えたかった。最後まで走り切れたのは良かった」と松田らしい笑顔が戻った。

 向かい風が強く、独走で記録を狙うには条件が悪かった。それでも月間1000キロを超える練習に裏打ちされた自信を胸に序盤から先頭でレースを展開。シューズもマラソンでは初めてナイキの厚底を着用し「厚底に負けない体に鍛え直して挑んだ」と成長を誇った。

 補欠としての信頼度も高まった。初の名古屋でマラソン3度目の優勝。日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは「安定感でいけば女子の中では一番」と最強のバックアッパーとして高評価。2人いる補欠選手のうち、最終登録は1人だが「調子を見て、(補欠は)最高の人を出す」と松田選出もにおわせた。

 松田はまだ1万メートルでの五輪代表の可能性も残すが「(マラソンに)出る気持ちで準備する。出られなくてもその後に日本記録に挑戦したい」。最強の補欠の次は最速のランナーを目指す。

続きを表示

この記事のフォト

2021年3月15日のニュース