道下美里、年内2度目の世界新! 4年連続5回目の優勝 東京パラへ弾み

[ 2020年12月21日 05:30 ]

防府読売マラソン ( 2020年12月20日    山口県防府市 キリンレモンスタジアム体育館前―キリンレモンスタジアム陸上競技場の42・195キロ )

2時間54分13秒の世界新記録をマークして優勝し、笑顔でポーズをとる道下
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 視覚障がい女子は16年リオデジャネイロパラリンピック銀メダリストの道下美里(43=三井住友海上)が世界新記録の2時間54分13秒で4年連続5回目の優勝を飾った。2月の別大毎日で自身がマークした記録を9秒更新。年間2度目の偉業で、東京パラへ弾みをつけた。男子は一般参加の丸山竜也(26=八千代工業)が2時間9分36秒で初優勝。川内優輝(33=あいおいニッセイ同和損保)が50秒差の2位に入った。

 「普段と違うエネルギーをもらえる」という地元・山口でのレース。例年と違い沿道から観衆は消え、声援も聞こえなかったが、道下は応援する人々の姿を思い浮かべていた。「私は見えないので、沿道に人がいると想像して走った」。終盤は向かい風に苦しみ目標の2時間52分台には届かなかったが、地元では3年ぶりの世界新。沿道以外からの応援も多かったと明かし、「見えないパワーをもらっている。結果で恩返ししたかった」と笑った。

 2月に自ら世界記録を更新後に緊急事態宣言が発令。外で走れなくなった分、自宅で筋トレ、踏み台昇降、エアロバイクなど地道に体を鍛えた。筋トレは練習仲間にも見てもらい、正しいフォームでできているかをチェック。トレーニング効果がアップし、「1年前に比べて上半身にも筋肉がついて、全身を使って走れる」実感をつかんだ。外で走れるようになってからは「楽しくて」10、11月には月間800キロ以上を走行。新記録を確信して約10カ月ぶりの42・195キロに臨んでいた。

 代表に内定している東京パラリンピック前では最後のフルマラソンの予定だった。2月に続く2大会連続世界新で「いい弾みになった」と話す一方、「日本の選手もスピードを上げてきたし、中距離で一度も勝てなかったロシアの選手も3時間3分で走っている。金メダルを獲るにはもう少し強くならないと」と指摘。金メダル確信へ向け、さらにレースに出る可能性も示唆した。

 ◆道下 美里(みちした・みさと)1977年(昭52)1月19日生まれ、山口県下関市出身の43歳。小4で膠様(こうよう)滴状角膜ジストロフィーを患い、中2で右目の視力を失う。のちに左目も発症し、視力は0.01以下。26歳で陸上を始め、31歳でマラソン転向。16年リオデジャネイロパラリンピック銀メダル。今年2月の世界新でスポーツニッポンフォーラム制定「FOR ALL 2020」グランプリ受賞。1メートル44、36キロ。

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