高橋大輔 アイスダンス転向初戦は笑顔の2位発進「上出来だった」

[ 2020年11月28日 05:30 ]

フィギュアスケート グランプリシリーズ第6戦 NHK杯第1日 ( 2020年11月27日    大阪・東和薬品ラクタブドーム )

アイスダンスの初日、リズムダンスで2位スタートの村元・高橋組(代表撮影)
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 アイスダンスのリズムダンスが行われ、男子で10年バンクーバー五輪銅メダリストの高橋大輔(34=関大KFSC)が村元哉中(27)とカップルとしてアイスダンスデビューを飾った。鮮やかな衣装で映画「マスク」のコミカルな世界を演じ切り、64・15点と上々の得点で2位発進した。シングルの女子ショートプログラム(SP)は坂本花織(20=シスメックス)が75・60点、男子SPは鍵山優真(17=星槎国際高横浜)が87・26点で首位に立った。

 34歳の高橋が、新境地を開拓した。衣装はイエローのパンツにサスペンダー、柄物のネクタイ。ブロンズ調の衣装を身にまとった村元と映画「マスク」のコミカルな世界観を表現した。演技後は手を取り合い、笑顔を見せた高橋は「得点の取りこぼしやミスもあったが、上出来だった」と振り返る。パートナーの評価を問われた村元も「最初から最後まで落ち着いて大きなミスなく滑れた。100点でいいんじゃないですか」と笑った。

 演技前、高橋の緊張を解き放ったのは村元の言葉だった。「今までやってきたことを出し切ろう。落ち着いて、楽しもう!」。演技に入ると、力強いステップで手拍子が起こり、2人が息を合わせて回転するツイズルを完遂させると拍手が起こる。リンク中心線を直線的に滑るミッドラインステップでは3組の全要素で最も出来栄え評価(GOE)の高い2・52点を稼いだ。得点は国際スケート連盟非公認ながら64・15点。単純比較できないが、19年世界選手権でフリーダンスに進出できる20位相当だった。

 世界的に見てもシングル五輪メダリストの転向は異例。今年1月から練習を始め、コロナ禍のため拠点の米フロリダ州で本格的に滑り始めたのは6月と出遅れた。それでも、新たな挑戦を楽しんでいる。カップル結成時に「バキバキになっているかも」とジョークめかしたが、まさにその通りとなった。村元の体を支えるため筋力トレーニングを欠かさない。1日4食、シングル時代には飲まなかったプロテインも摂取。体重に変化はないが、上半身や太腿は一回り大きくなった。

 シングルでの現役復帰後には「このまま続けていいのか…」とモチベーション維持にも悩んだが、アイスダンスは違う。「知らない世界が開けた。目の前に目標がどんどん出てくる」。探究心が高橋を突き動かしている。

 きょう28日にはフリーダンスが控える。この日の演技とは対照的にクラシックバレエの世界を表現する。「いろんなことを考えすぎず、今までの成果を発揮したい」と高橋。目標の22年北京五輪へ、力強く歩み始めた。

 ◆高橋 大輔(たかはし・だいすけ)1986年(昭61)3月16日生まれ、岡山県倉敷市出身の34歳。8歳でフィギュアスケートを始め、シングルでは05年に全日本選手権で初優勝。五輪には3大会連続で出場し、06年トリノ8位、14年ソチでは右膝故障ながら6位。10年世界選手権ではアジア人初の男子シングル優勝を飾った。今年1月からアイスダンスの世界へ。1メートル65、60キロ。

 ◆村元 哉中(むらもと・かな)1993年(平5)3月3日生まれ、兵庫県明石市出身の27歳。5歳からスケートを始め、シングルから14年アイスダンス転向。15年に故クリス・リードさんとカップルを結成し、同年から全日本選手権3連覇。18年四大陸選手権で銅メダル、同年の平昌五輪では日本勢最高タイの15位。1メートル62、48キロ。

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