大坂なおみ、決勝棄権 準決勝ストレート勝ちも左太腿裏負傷 31日開幕全米OPピンチ

[ 2020年8月30日 05:30 ]

テニス ウエスタン・アンド・サザン・オープン第7日 ( 2020年8月29日    ニューヨーク ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター )

「ブラック・ライブス・マター」Tシャツを着て会場入りした大坂(AP)
Photo By AP

 大会主催者は29日、女子シングルス世界ランク10位で第4シード、大坂なおみ(22=日清食品)が左太腿裏のケガのため同日の決勝を棄権したことを発表した。31日開幕の4大大会、全米オープン出場に暗雲が立ちこめた。大坂の棄権により世界59位のビクトリア・アザレンカ(31=ベラルーシ)が優勝した。

 激動のツアー再開初戦は、思わぬ形での幕切れとなった。主催者が大坂の棄権を決勝1時間ほど前に発表。ツアー6勝目が消えた大坂は主催者を通じ「ケガで棄権することになり、申し訳なく思っています」とコメントを発表した。

 大坂は黒人男性銃撃事件など人種差別への抗議のために一度は準決勝の棄権を表明。その後、大坂に賛同した大会主催者が準決勝の試合開催を1日見送ったことで棄権を撤回した。28日の準決勝第2セットのタイブレークの際に左太腿裏の張りを訴えており「思った通りに一晩で回復しませんでした」と決勝を棄権した理由を明かした。激動の大会を振り返り「エモーショナルな1週間でした。たくさんのサポートに感謝します」とした。

 31日には18年以来2度目の優勝が懸かる全米オープンが開幕する。大坂は第4シードとなった全米で初日の31日に土居美咲(ミキハウス)と当たる1回戦が組まれており「初戦までに(左太腿裏の)状態が良くなっているといい」と出場に意欲を示したが、ギリギリまで状態を見極めることになりそうだ。

 《人種差別抗議余波で不眠に胃痛も》28日の準決勝は世界ランキング22位のメルテンス(24=ベルギー)に6―2、7―6で圧勝した。

 第1セットは圧倒。第2セットは第1サーブが決まらずに主導権を握れない中で粘り強く戦った。4―4で迎えた第9ゲームは相手に0―40のブレークポイントを握られたが持ちこたえ、5―4と逆転。2時間を超えるストローク戦を制した大坂は「(ツアー)再開後の初の大会で決勝に行けたのはうれしい」と安どの表情を浮かべていた。

 自らのプレーで人種差別に抗議の意思を示すと決めた大坂は、「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」と抗議運動のスローガンが記され、握った拳が描かれたTシャツを着てコートに登場。棄権表明により注目を集めたことで緊張から胃が痛くなり「前夜はあまり寝られなかった」と明かした。それでも「今回は勝ちたいと思う理由が一つ増えている」と勝利に並々ならぬ意欲を示していた。

続きを表示

2020年8月30日のニュース