照ノ富士 優勝額「増やしたい」表彰式時に見上げた2階席 次なる視線は再び未来へ

[ 2020年8月4日 05:30 ]

優勝から一夜明け、オンラインで取材に応じる照ノ富士

 大相撲の東前頭17枚目・照ノ富士(28=伊勢ケ浜部屋)が2度目の幕内優勝から一夜明けた3日、リモート取材に応じ、終盤は古傷の膝の状態が悪化していたことを明かした。それでも、30場所ぶりに賜杯を抱いた元大関は、5日から稽古を再開して秋場所(9月13日初日、両国国技館)へ向かう意向を示した。

 支度部屋での万歳もパレードもなかったが、照ノ富士には仲間の祝福が待っていた。部屋に戻ると師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)から「おめでとう」とねぎらわれ、「抱き合って」親方と喜びを分かち合ったことを明かした。朝乃山撃破で援護射撃した照強とも抱擁をかわし、シャンパンで喉を潤したシーンを「おいしかった」と振り返った。

 ただ、華麗なる復活劇の裏側では、痛みとも闘っていた。番付を落とす原因となった両膝の状態について「伸びなくなってました。表彰式の時に土俵に上がったり下りたりするのはきつかった」と振り返った。終盤戦は患部が悪化。「そこまでいっちゃったら、やるしかない」と腹をくくった。その中で上位陣を粉砕し「つらいのに、慣れてるというか」という言葉に実感がこもっていた。

 圧倒的なパワーで快進撃し、自身の予想すら覆す結果を残した。だが、「勢いに乗ったから勝っただけで、もうちょっと鍛えないと来場所厳しいというのはある。水曜日(5日)から汗を流そうと思っている。場所前から決めてたことなので」と冷静に話し、大きく番付を上げる秋場所へ気持ちを切り替えた。

 表彰式の時に見上げた2階席の壁に、初めて賜杯を抱いた約5年前の優勝額が飾られている。「復活してからずっと、その写真が下りるまで(残り)何場所あるから、下りるまでに新しい写真を飾りたいと目標にしていた。できて良かった。増やしていきたい」。V字回復を描いた男の視線は、再び未来へと向かっていた。

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