ラグビー代表候補の宮崎合宿 リーチ・マイケルにうれしい訪問者

[ 2019年7月10日 11:32 ]

石丸剛也さん(3列目中央)はニュージーランド留学中に1学年下のリーチ・マイケル(前列左端)と出会った(石丸剛也さん提供)
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 懐かしい顔はきっと励みになる。ラグビー日本代表候補の宮崎合宿第3クール初日の8日。練習後、フランカーのリーチ・マイケル(30=東芝)の表情が柔らかかった。1学年上の旧友、石丸剛也さん(32)が福岡市からやってきたからだ。

 2人の出会いは、16年前。石丸さんは、東福岡高1年時にニュージーランドにラグビー留学をし、リーチ宅にホームステイをした。日本語と英語。会話は難しくとも、ラグビーボールがあれば気持ちは伝わる。他の日本人留学生2人を入れた4人は、毎日暗くなるまで、庭でのタッチフットに没頭した。

 リーチは、この交流で日本に親近感を覚え、翌年、札幌山の手高校に留学する。だから、来日の橋渡し役の1人が石丸さんだ。大学、社会人と時が過ぎても、2人の仲は変わらなかった。

 「マイケルのお母さんの手料理がおいしくて。日本人向けにいろいろと作ってくれて。肉も魚もです」

 リーチの父、大工のジェフリーさんが建てた家で過ごした数ヶ月間を、石丸さんは鮮明に覚えている。しかし、その家はリーチが高校2年の時に火事で焼失してしまう。

 困っている人を放っておけない性分のラガーマンは多い。

 落ち込む教え子のために、札幌山の手・佐藤幹夫監督が義援金を呼びかけた。石丸さんがいた東福岡など他校も応じた。ジャパンの主将は、この時の支援のスクラムを、今でも恩義に感じている。

 この日は、もう一つうれしい再会があった。「宮崎のリーチ」こと、顔なじみの「りいちくん」が練習を見に来てくれた。4歳。15年W杯に影響されたようで、リーチが名前の由来のようだ。激励の似顔絵を手渡された。

 翌日の9日の練習は完全別メニュー調整。「ケガではない。レスト(休息)」と、今季頭痛の種になっている恥骨の炎症の影響を否定したものの、何か引っかかるものがあるのかもしれない。
 ただし、ジッと休んでいたわけではない。グラウンドに立ち、コーチのように指示を飛ばし、別メニューの選手を励まし、リーダーの務めを全うした。

 願わくば、この責任感の塊を、万全の状態でW杯のピッチへ。
 訪問者2人はもちろんのこと、ラグビーファン共通の思いである。(記者コラム・倉世古 洋平)  

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2019年7月10日のニュース