伊調、2年8カ月ぶり国際大会で完敗…五輪V5へ全日本選抜が正念場

[ 2019年4月27日 05:30 ]

レスリングアジア選手権   第4日 ( 2019年4月26日    中国・西安 )

北朝鮮選手(左)の攻めをこらえる伊調馨(共同)
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 16年リオ五輪以来、2年8カ月ぶりの国際大会となった女子57キロ級の伊調馨(34=ALSOK)は3位に終わった。準決勝で18年アジア大会優勝のチョン・ミョンスク(25=北朝鮮)に4―7の完敗。3位決定戦ではフォール勝ちして銅メダルは確保したものの、前人未到の五輪5連覇に暗雲が漂う結果となった。

 世界をリードしてきたディフェンスを崩された。伊調は準決勝開始30秒で両足タックルをまともに浴び、バックを取られて2失点。1分半すぎには片足タックルからテークダウンされ、ローリングで4点を許すなど第1ピリオドで1―7と大差をつけられた。外国人選手相手の敗戦は16年1月のヤリギン国際大会のプレブドルジ(モンゴル)戦以来、3年3カ月ぶりだった。

 「初戦から腰の高さは感じていた」。初戦の2回戦で韓国選手にフォール勝ちしたが、バッティングで前歯が折れるアクシデント。バッティングの原因ともなった腰高の姿勢は、低く鋭い相手タックルの格好の的となった。第2ピリオドには攻めあぐねる場面もあり、「自分のスタイルに固執してしまった。臨機応変な判断ができなかった」と振り返った。

 2年のブランクやパワハラ問題を乗り越えて昨年末の全日本選手権で復活優勝し、20年東京五輪挑戦を表明。だが、世界が確実に進化する一方、自身は両足首などケガの連続で、強さの源だった練習量を落とさざるを得なかった。ALSOKの大橋正教監督は「点を取られないのが基本。そこが崩れた場合に戦い方をどうするか考えなければ」とスタイル変更の必要性にも言及した。

 伊調も変化の必要性は自覚している。「今後の練習の方向性が明確に分かった。相手も階級も変わったし、自分のレスリングスタイルも変えていかなきゃいけない。同じではダメと思う」。次の目標は6月の全日本選抜で勝ち、東京五輪出場が懸かる世界選手権(9月、カザフスタン)の代表になること。今回の負けがライバルたちに対伊調のヒントを与える可能性はあるが、「逆に、こんなもんかなと思ってもらえればうれしい」とニヤリ。「こんなものじゃないので」と続けた言葉に逆襲の決意を込めた。

 【リオ五輪後の伊調】  ▽16年8月 リオ五輪で五輪女子初の4大会連続金メダル。  ▽9月 国民栄誉賞を受賞。  ▽18年1月1日 ALSOKでアスリートが多く所属する教育・訓練部から広報部へ異動。社内報製作などに従事する一方、少しずつ体を動かし始める。  ▽1月18日 田南部力氏らが代理人を通じ、内閣府の公益認定等委員会に伊調が日本協会の栄和人強化本部長にパワハラを受けたとする告発状を提出。  ▽4月 栄氏のパワハラ行為4件が認定され、同氏が強化本部長を辞任。伊調は日体大を拠点に復帰を見据えて三部練習を開始。  ▽8月 日本協会の福田富昭会長らと面談して謝罪を受け入れ、10月の全日本女子オープンでの復帰を表明。  ▽10月 全日本女子オープンで復帰戦V。  ▽12月 全日本選手権の1次リーグ初戦で川井梨紗子に1―2。17年ぶりに日本人に敗れたが、決勝で川井梨に残り10秒で逆転して3年ぶりに優勝。  ▽19年4月26日 アジア選手権で国際大会復帰も準決勝で敗れ、優勝を逃す。

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