鳥人・ニッカネン氏死去 カルガリー冬季五輪3冠含む4つの金

[ 2019年2月5日 05:30 ]

マッチ・ニッカネン氏
Photo By 共同

 ノルディックスキー・ジャンプ男子で圧倒的な強さを誇り「鳥人」と呼ばれ、冬季五輪で金メダル4個を獲得したマッチ・ニッカネン氏(フィンランド)が死去したと4日、国際スキー連盟(FIS)の公式サイトが伝えた。55歳だった。死因は不明。現役引退後は飲酒の問題に悩まされていた。

 1984年サラエボ五輪の90メートル級(現ラージヒル)で金メダル、70メートル級(現ノーマルヒル)で銀メダルに輝いた。88年カルガリー五輪で団体を合わせ、現在もジャンプ選手でただ一人の1大会3冠を成し遂げた。スキー板を平行にしたまま体の横にはみ出すフォームで圧倒的な強さを誇り、世界中の選手がこぞってまねた。日本勢に影響も与え、98年長野五輪団体金メダルで雪印メグミルクの原田雅彦監督は「我々が飛んだこともない(低い)ゲートで飛んでいた」と驚いたという。

 長野五輪2冠の船木和喜(フィット)は「ジャンプを始めたきっかけの選手。とにかく強くて憧れた」と惜しむ。葛西紀明(土屋ホーム)は高校2年のときにホテルの部屋に呼ばれ、サイン入りのジャンプスーツと靴をもらい「うれしくて、うれしくて。今でも大事に持っている」という。

 フィンランドの伝説的英雄は引退後、暴行事件で服役。トラブルが絶えなかったが、圧倒的な強さは記憶に刻まれている。葛西は「僕の中では永遠に憧れのヒーロー」と悼んだ。

 ◆マッチ・ニッカネン 1963年7月17日、フィンランド生まれ。W杯ジャンプは81年に17歳で初優勝を果たし、89年まで通算46勝。13年にシュリーレンツァウアー(オーストリア)に抜かれるまで歴代最多だった。五輪は84年サラエボ大会90メートル級個人で金メダル。88年カルガリー大会は70メートル級個人、90メートル級個人、90メートル級団体と3冠達成。フィンランドの国民的英雄で、日本では「鳥人」と呼ばれた。

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2019年2月5日のニュース