天理大、帝京大止めた!大きい相手にスクラム圧倒 小兵軍団が頂点へ

[ 2019年1月3日 05:30 ]

ラグビー全国大学選手権準決勝   天理大29―7帝京大 ( 2019年1月2日    東京・秩父宮ラグビー場 )

前半19分、ゴール前のスクラムを押し込み、ペナルティトライを決め、ガッツポーズするマキシ(中央)ら天理大フィフティーン(撮影・吉田 剛)
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 準決勝2試合が行われ、天理大が帝京大の10連覇を阻止した。かつて「弱い」と言われたスクラムで圧倒し、持ち前の堅守でわずか1トライに封じた。29―7で2011年度決勝で敗れた王者にリベンジした。7大会ぶりに進出する12日の決勝(秩父宮)は、明大と対戦する。1984年度に3連覇をした同大以来となる関西勢34大会ぶり、チーム初の日本一を狙う。

 小さくても勝てる。天理大が帝京大のスクラムを崩壊し、それを証明した。前半19分、ゴール前15メートルから押す。観衆2万1934人の秩父宮がどよめく。原形をとどめていない形で後退させ、認定トライ。12―0。つけ込むスキが見えた。

 「日本一になるために倒さなければならない相手。自信のあるスクラムで重圧をかけられたのが良かった」

 フッカー島根主将が勝因を挙げた。後半はスクラムで4つも反則を奪った。26―7と突き放した後半18分のNo・8マキシのトライもスクラムで押した後のプレー。体の強さで鳴らす王者を打ち砕いた。

 天理大はかつて「スクラムが弱い」ことで有名だった。日本代表候補SO立川理道(クボタ)を擁して準優勝した11年度も、決勝で帝京大に押された。しかし、平均身長で10センチ低い黒衣集団の奮闘は、全国のラグビー少年の希望になった。

 準決勝の殊勲者、プロップ加藤は千葉県の専大松戸高から、奈良県へやってきた。「立川さんの代を見て、小さくても試合に出られると思った」。1メートル72の“無名選手”は、プレーの映像を小松節夫監督に送って売り込み、入学した。同じ理由の選手は何人もいた。

 準決勝の23人の平均身長は、帝京大より4・7センチ低い1メートル75・3だった。留学生4人が数字を押し上げるものの、体重を含めて、今も変わらず小粒だ。それでも、近年はスクラムが武器。トップリーグチームへの出稽古や、本格的な肉体強化が実った。この代は「膝の高さ1センチにこだわった」(加藤)という創意工夫で、9連覇中の帝京大を押した。

 12日の決勝は大柄な明大とぶつかる。「勝ててうれしいけど、ここが終わりじゃない」。関西勢34大会ぶりの頂点を狙う加藤の言葉は力強い。小兵軍団が歴史を変える。

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2019年1月3日のニュース