張本「最高としか言いようがない」ぶれない体と心で史上最年少V

[ 2018年12月17日 05:30 ]

卓球 ワールドツアー・グランドファイナル最終日 ( 2018年12月16日    韓国・仁川 )

グランドファイナル男子シングルス優勝トロフィーを手に笑顔の張本
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 天才少年がまた金字塔を打ち立てた。男子シングルス決勝で、世界ランク5位の張本智和(15=エリートアカデミー)が、同4位の林高遠(リンコウエン、中国)を4―1で撃破して初優勝した。15歳172日でのシングルスの戴冠は男女通じて史上最年少。18年の国際大会を最高の形で締めくくり、20年東京五輪の金メダルへ前進した。女子ダブルスでも伊藤美誠(18=スターツ)早田ひな(18=日本生命)組が初優勝を飾った。

 最強15歳は静かに戴冠の時を迎えた。張本の渾身(こんしん)のサーブレシーブに、林高遠が反応できない。優勝した全日本選手権、荻村杯と同様「チョレイ!」の声はなく、両手で頭を押さえて歓喜に浸った。「あれが自分の新しいルーティンなのかな。試合中にたくさん声を出しているんで」。6月の中国オープンで1―4で完敗した相手に、4―1でリベンジ。史上最年少でタイトルを獲得し、優勝トロフィーを見つめた。

 「いやぁ、もう、最高としか言いようがない。ホッとした。この先、中国のトップ選手に勝ち続けるためにも大きな1勝と思う」

 第1ゲームを先取しながら、第2ゲームをジュースの末に落とした。流れが相手に傾きかけたが第3、4ゲームを奪うと絶叫。第5ゲームは7―9から一気に4連続得点で勝負を決めた。「こんなに興奮するのは初めて」と表彰式後の取材エリアでも、呼吸は荒かった。中国勢の出場がなかった10、14年大会の水谷以来の優勝で賞金10万ドル(約1130万円)もゲット。「自分が19、20歳になるまでは全部貯金」と笑った。

 今年から本格的に筋力トレーニングに着手。5月に日本男子の倉嶋監督に腕相撲で完敗したが、1カ月後には3連勝を飾った。夏場にはベンチプレスも始め、最初は20キロが限界だったが、今は40キロを持ち上げる。片足ずつのスクワットも続けており、張本は「ぶれる幅が減った」と口にした。筋肉量が増えたことで、体重は1月から3キロ増えて65キロに。「間違いなく気持ちが成長した」とぶれないメンタルも、同時に手に入れた。

 4月に世界1位の樊振東(ハンシントウ)を破り、6月には16年リオ五輪金メダルの馬龍(マリュウ)、12年ロンドン五輪金メダルの張継科(チョウケイカ)も撃破。今年の中国勢との対戦は8勝6敗と勝ち越した。20年1月の世界ランクで決まる東京五輪の代表争いは19年に始まるが、張本にとって目標は出場ではなく日本初となる五輪の頂。「実力を増していけば、東京五輪で金メダルを獲る可能性も、もっと増える」。思い描く黄金の未来へ、15歳の進撃は止まらない。

 ◆張本 智和(はりもと・ともかず)2003年(平15)6月27日生まれ、宮城県仙台市出身の15歳。父・宇さんがコーチ、母・凌さんは95年世界選手権の中国代表。小学3年の妹・美和も強豪選手で、14年春に父、妹とともに国籍を中国から日本に。2歳でラケットを握り、16年世界ジュニア選手権優勝など国内外で最年少記録更新。12月の世界ランキング5位。1メートル75。

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