暁斗 ジャンプ失敗も追い上げ3位、平昌へ「気引き締まった」

[ 2018年2月5日 05:30 ]

ノルディックスキー複合W杯個人第14戦 ( 2018年2月4日    長野県・白馬ジャンプ競技場、ヒルサイズ=HS134メートル、距離10キロ )

W杯複合白馬大会最終日 後半距離で、ゴール前の競り合いを制し3位に入った渡部暁(左)
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 長野県・白馬ジャンプ競技場で個人第14戦が行われ、W杯個人総合首位で平昌五輪代表の渡部暁斗(29=北野建設)は5連勝を逃し、3位だった。荻原健司氏が持つ日本人最多のシーズン6勝は持ち越しとなったものの、8位から出た距離で追い上げ6戦連続の表彰台は確保した。総合2位のヤン・シュミット(ノルウェー)が今季3勝目を挙げた。

 もう最後は意地だった。右足を懸命に伸ばし、次の瞬間に転倒した。際どい表彰台争いは写真判定に持ち込まれた。その差は0秒1。W杯総合ポイントで首位を走る渡部暁の経験と執念が上回った。

 独走で4連勝した前日から一転、激しい競り合いが繰り広げられた。渡部暁は前半飛躍での出遅れが響き、平昌最後の実戦を勝利で終えることはできなかった。だが、「いろんなレース展開を網羅した上で仕切り直して、五輪に臨める。勝ちたかったけど3位でよかった」と表情に曇りはなかった。

 前半飛躍は116メートルで8位。追い風などコンディションにも恵まれず「無理やりやった感があった。起こりうる失敗だった」と話した。後半距離では首位と1分17秒差と久々に追う展開。「ペースがつかみきれなかった。もう少し緩急がつけられたらよかった」。飛躍7位のシュミットらと序盤から飛ばしたが、その分、体力を消耗。ゴール直前の急な上りでトップを捉えたシュミットの背中を見つめるだけだった。

 好調の飛躍で差をあけ、距離で逃げ切るのが必勝パターン。ただ、平昌前に接戦の経験を積んだことは大きい。「ある意味、最高の形では。五輪で今日のようなことが起こる可能性はあるし、気が引き締まった。スプリントで勝てなかったのはいい反省点」と切り替えた。

 銀メダルだったソチ五輪から4年。「たぶん僕は五輪で実力以上が出る選手ではない。奇跡を起こす特別な選手じゃない」と自覚している。しかし、今季は着実に成績を積み上げてきた。「今年はしっかり何勝もして、1位になってもおかしくない状態を自分でつくれた。金メダルにふさわしい選手と言える」とキッパリ。連勝を逃したくらいで自信は崩れない。大声援を送った地元・白馬のファンへ「金メダルを獲ってまた帰ってきたい」と力強く宣言した。

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