白鵬も万感…石浦&山口 中学時代からの同級生が念願の同時白まわし

[ 2016年11月6日 11:30 ]

白鵬と稽古する石浦(右)後ろは山口

 横綱・白鵬を慕って大相撲界に入門してきた2人の力士が九州場所(13日初日、福岡国際センター)に向けての調整で初めて同時に関取の象徴である白まわしを締めた。新入幕の石浦(26)と再十両の山口(27)。山口が小学校卒業後に東京の親元を離れて鳥取西中に進学して以来、鳥取城北高、日大、そして宮城野部屋と長きにわたり同じ稽古場で汗を流してきた同級生である。

 先に角界に入門し、関取に昇進したのは山口だった。幕下15枚目格付け出しの資格を引っさげ、12年春場所に大卒デビュー。わずか3場所後の同年秋場所で新十両に昇進し「大喜鵬」という立派なしこ名もついた。

 一方の石浦は13年初場所で前相撲から初土俵を踏んだ。そもそも、山口の入門時に横綱から「おまえもどうだ」と誘われていたが、日大卒業後はオーストラリアに留学。その後、相撲への未練を断ち切れず遅ればせながらプロの門をたたいた。厳しい番付社会は覚悟の上。「昔は殴り合いのけんかもよくやった。お互いいいところも悪いところも全部知っている」という同級生を「関取」と呼ぶ日々が始まった。

 ただ、2人が同時に白まわしを締める日はなかなか来なかった。度重なる故障と甲状腺の病気で大喜鵬は14年名古屋場所で幕下に陥落。三段目まで番付が落ちていた15年春場所には本名の山口にしこ名を戻した。その場所で入れ替わるように石浦が新十両に昇進。2人の立場は逆転した。

 そこから10場所が経過した今場所。石浦は念願の新入幕を果たし、山口も不屈の努力で2年半ぶりに十両に復帰した。山口は石浦について「今思うと、いなかったら落ちたときにやめていたかもしれない。近くで活躍する姿を見ていたから自分も諦めなかった」と言う。一方の石浦は「学生時代からずっとずっと自分よりも強かった。(プロに入っても)我慢してきた姿を見てきた。今が一番強いと思う」と尊敬のまなざしは変わらない。2人の間にあるのは、べたべたした友情ではない。互いに高め合うことができる、当たり前のような存在なのだろう。

 白まわしを締めた2人が稽古場で胸を合わせるシーンを見て、白鵬も「うれしいですよね。稽古をつけた2人が白まわしで土俵に立つというのは」と感慨ひとしお。今場所からは石浦が土俵入りの露払いを務めるが、もちろん横綱は2人を従える日を心待ちにしている。(記者コラム・鈴木 悟)

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2016年11月6日のニュース