相撲界で体幹トレブームの理由 琴奨菊の活躍で見直された重要性

[ 2016年3月10日 09:30 ]

「琴バウアー」で場内を沸かせる琴奨菊

 相撲界では今、体幹トレーニングがちょっとしたブームになっている。白鵬の所属する宮城野部屋では春場所(13日初日、エディオンアリーナ大阪)に向けて大阪入りして以降、若い衆は稽古開始前に土俵脇にバスタオルを敷いて、腹筋、背筋や体の中心部を鍛える複数のトレーニングに取り組むようになった。地味なトレーニングだが、慣れない新弟子にはつらいようで、数分もすると悲鳴が漏れてくる。

 あらゆるアスリートにとって体幹トレーニングは大切だ。もう何十年も前から言われていることだが、なぜ今その重要性が再認識されているのか?

 宮城野親方(元幕内・竹葉山)は率直に言う。「これを鍛えて強くなったのが琴奨菊でしょう」。初場所で日本出身として10年ぶりの優勝を飾った大関・琴奨菊がケガや不振を乗り越えて結果を出した最大の要因として話題になったのが体幹強化だった。

 琴奨菊は競輪選手なども指導する塩田宗広トレーナーと昨夏からタッグを組んで、体幹強化に励んだ。そのトレーニングの代表例がケトルベルと呼ばれるヤカン型のダンベルを使ったもの。何度も持ち上げて、体の中心部のさまざまな筋肉を鍛えた。その結果、持ち味の低く鋭い立ち合いが「圧力が伝わるようになった」という。

 先日訪れた湊部屋には真新しい3種類のケトルベル(12キロ、20キロ、40キロ)が並んでいた。これを使って懸命にトレーニングに励むのは、新入幕の14年秋場所でいきなり優勝争いして「怪物」と騒がれた逸ノ城だった。

 ここ数場所は対戦相手に研究され、恵まれた大きな肉体を生かせなくなった。成績は低迷し、初場所はわずか2勝。何かを変えるためにトレーナーから紹介され、たどり着いたのが体幹トレーニングだ。

 「最初は全身が筋肉痛になったけれど、普段使わない筋肉を鍛えられる」。まだ始めたばかりで、その効果を感じられるのはもう少し先かもしれない。ただ新たなトレーニングに積極的に取り組む姿勢は以前にはなかったもの。「このままじゃダメ。やってやるしかないです」と珍しく鼻息も荒い。幕内自己ワーストの東前頭11枚目まで番付を落とした逸ノ城。琴奨菊に続いて、体幹強化の取り組みが不振脱出のきっかけになるか。(記者コラム・柳田 博)

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