開会式で「鳥肌が立った」 葛西 金への誓い新た「狙っていく」

[ 2014年2月9日 05:30 ]

開会式で行進する日本の主将・葛西

 冬季五輪史上最多7度目の出場となるソチ五輪日本選手団主将、ジャンプ男子の葛西紀明(41=土屋ホーム)が9日(日本時間10日午前2時30分開始)の個人ノーマルヒル決勝に出場する。冬季五輪史上最多の87カ国・地域(インドは個人資格での参加)が参加して7日に行われた開会式では、旗手のカーリング女子・小笠原歩(35=北海道銀行)とベテラン2人で選手団を先導。自身最初の種目で悲願の金メダルを目指す。

 日の丸とロシア国旗を左手に持ち替え、右手でピースサイン。葛西は満面の笑みで約4万人の観衆で埋まったスタンドへ何度も手を振った。冬季五輪史上最多7度目の出場ながら、開会式に出たのは21歳だった94年リレハンメル大会以来20年ぶり2回目。「久しぶりで気持ちが入った。鳥肌が立った」。ジャンプ界のレジェンドも、ざわつく心を抑えられなかった。

 日本の入場行進は開催国ロシアの前、最後から2番目。白と紺のウエアの選手団の右前列で行進した葛西は式の間、選手たちを激励して回った。「多くのチームメートと握手して、みんなのパワーがこっちに伝わってきた。自分も、頑張ってほしいという気持ちを込めて手を握り返した。みんなで頑張っていけるという気持ちを強くした」。6日にはジャンプの公式練習を休み、モーグル女子予選を応援。チームリーダーとしての役割に積極的に取り組んでいる。

 自身がチームに勢いをつけるべく、9日には個人ノーマルヒル決勝に臨む。先月11日のW杯個人第13戦で史上最年長優勝を飾るなどW杯総合3位につけ、8日の予選を免除(10位以内)された。予選免除は7度目の出場で初めてで、だからこそ開会式出場を決めた。近年悩まされた膝や腰の痛みがほとんどない今季は上位陣の力が接近し、優勝争いは混戦模様。「ずっとトップ選手と優勝争いできていることが自信になっている」という葛西にとってチャンスだ。

 リレハンメル五輪は団体でアンカー原田雅彦が失速して銀メダル。98年長野五輪は直前のケガでメンバー落ちした。日本中が歓喜した団体金メダルも「4年に一度、五輪が近づくとあのシーンが流れるのが悔しくて」。7度出場の原動力は金メダルへの執念だ。「凄く調子もいいので金メダルを狙っていきたい。主将として、他の選手みんなに勢いがつくように、たくさんメダルが獲れるように、後押ししていきたい」。心身が最も充実した“ジャンプ界のレジェンド”の五輪が始まる。

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2014年2月9日のニュース