【コラム】金子達仁

監督が注目集めた1年 J1最終節のタクトが楽しみ

[ 2018年11月30日 15:15 ]

低迷していたチームにシーズン途中から就任して、見事に立て直したG大阪の宮本恒靖監督(右)
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 ハリルホジッチ前監督を解任して西野朗氏を後釜に据えたこと。

 批判の声も根強かったこの更迭劇が、前評判を覆す快進撃を生んだこと。

 W杯終了後、監督に就任した森保監督に率いられた新チームが、負けなしで18年を終えたこと。

 今季のJリーグが川崎Fの優勝で幕を閉じること。

 監督という職業に対する日本人の、日本サッカー界の考え方、とらえ方が急速に変わりつつある。そんな印象を持った18年だった。

 以前にも書いたが、W杯を除くと世界のトップクラスの試合をオンタイムで観戦することが不可能に近かった時代、日本の指導者のレベルは欧米に大きく劣っていた。発足直後のJリーグも、表向きは日本人監督をトップに据えながら、実質的、戦術的な指導は外国人に任せているところが少なくなかった。

 だが、今年のJリーグを川崎Fが制したことで、これで7年連続、日本人監督が指揮を執ったチームが頂点に立ったことになる。06年のブッフバルト(浦和)から11年のネルシーニョ(柏)までは6年連続で優勝監督が外国人だったことを思えば、隔世の感がある。

 日本人監督の持つアドバンテージの一つは、自分の考え、思い、狙いを100%に近い純度で選手たちに伝えられるということだろう。圧倒的なオーラは、衝撃的なまでのサッカー観を誇示することのできる外国人監督でなければ、通訳を介することによって生じてしまうマイナスを隠しきれなくなってきた。そして、そのことに多くの日本人が気づきつつある。

 優勝争いに加わることがなかったため、ローカルニュースの域を出ることはなかったが、泥沼のG大阪を見事に立て直し、破竹の大型連勝をもたらした宮本監督のように、次世代の人材も台頭してきている。選手ほどには監督が海外に出ていっていない、という長年の懸案も、いずれは解消されていくかもしれない。

 さて、今週末のJリーグの注目は、何といっても熾(し)烈(れつ)を極める残留争いだろう。0―9で負けない限り降格の可能性はない横浜はともかくとして、磐田、湘南、鳥栖、名古屋のファン、選手、そして監督は胃に穴があくような気持ちで週末を迎えることになる。

 名古屋と湘南は運命の直接対決。勝った方が生き残り、負けた方は他会場の結果次第。ところが、磐田は優勝した川崎Fと、鳥栖はACL出場権を狙う鹿島とともにアウェーで戦うことになっており、勝ち点をあげるのは簡単なことではない。

 特に、早い時間帯で磐田が先制点を許すようなことがあれば、得失点差で勝る名古屋と湘南は引き分けでも残留が決定する。いかに、あるいは何を目標にして戦うか。監督のマネジメント能力が問われる展開にもなってくる。

 ちなみに、目下欧州CLやブンデスリーガで圧倒的な強さを見せるドルトムントのファブレ監督が一気に評価をあげたのは、降格間違いなしと言われたボルシアMGを救い、欧州カップ戦にまで導いた時だった。残留争いは監督を育てる。そんな視点でも、最終節を楽しみたいと思う。(金子達仁氏=スポーツライター)

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