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【コラム】金子達仁

2026年W杯上位進出のカギ 開催国除く北中米と同居

[ 2025年11月27日 22:00 ]

日本代表の鈴木淳之介
Photo By スポニチ

 02年はトルコにやられた。10年はパラグアイにPK戦の末に屈した。18年はベルギーに大逆転負けを食らい、22年はまたしてもPK戦の末にクロアチアに煮え湯を呑(の)まされた。

 決勝トーナメント4戦4敗。なるほど、これでは見えないバリアーでもあるのでは、と嘆きたくもなる。いわゆる“ベスト8の壁”である。

 否定したい気持ちはもちろんあった。かつて絶望的な高さを感じさせた“アジアの壁”なるものが、一度越えてみれば何の問題もなくなったように、W杯における壁も、それほどのものではないのではないか。そう思いたがっている自分もいた。

 壁は現実に存在するのか。はたまた、単なる幻想なのか――答えが、出た。U―17日本代表が教えてくれた。

 振り返ってみよう。3年前のW杯カタール大会でスペイン、ドイツ、コスタリカと同じ組に入ることが決まった際、決勝トーナメント進出を確信していた日本人がどれだけいただろうか。3年前だけではない。W杯日韓大会の時も、W杯南アフリカ大会の時も、W杯ロシア大会の時も、大多数の日本人にとっての決勝トーナメントは、目標というよりは願望だった。必ず行くもの、ではなく、行けたらいいな、ぐらいの領域だった。

 今回のU―17日本代表は違った。欧州王者、アフリカ王者と同居する厳しい組に振り分けられながら、チームにとっての決勝トーナメント進出はもはや目標ですらなく、ほとんどノルマに近いものになっていた。1次リーグを1位で突破した彼らは、南アフリカ、北朝鮮を倒してベスト8にまで進出した。

 彼らの戦いぶりをみてわかった。過去のA代表が決勝トーナメントで勝てなかったのは、決勝トーナメントをボーナスステージのように考えていたから、だった。選手だけではない。日本人の多くが、そう考えていたから、だった。

 リーグ戦とトーナメントとでは、本来、戦い方を少し変える必要がある。強豪と言われる国々は、ゆえに余力を残しながら1次リーグを戦う。そして、突破を決めた瞬間、彼らは気持ちのスイッチを切り換える。

 過去のA代表には、それができなかった。そして、今回のU―17日本代表にはそれができていた。

 では、来年のW杯での日本代表はどうだろうか。

 できる、とわたしは思う。

 ご存じの通り、来年のW杯は史上最多の48カ国が参加して行われる。日本は、4つに分けられた実力別カテゴリーの上から2番目に入った。自他ともに認めるダークホース候補となったことで、日本の選手たちは、史上初めて、決勝トーナメント進出を悲願ではなくノルマとしてW杯に挑むこととなる。

 もちろん、組分け次第ではノルウェーやイタリアといった強豪と同居する可能性もないわけではない。そして、先を見すぎるあまり、足元をすくわれる強豪国はW杯のたびに現れる。断じて楽観はできない。

 ただ、優勝争いの常連国にとっては面倒が一つ増えただけでしかない決勝トーナメントの1試合増加は、日本にとっての吉だとわたしは見る。1次リーグを上位で勝ち抜けば、いきなり巨人たちとぶつかる可能性は激減するからである。

 02年のW杯、日韓がいないアジア予選を勝ち抜いた中国とサウジアラビアは、木っ端みじんに粉砕された。粉砕したのは、優勝したブラジルと、準優勝のドイツだった。メキシコ、米国、カナダがいない予選を戦った北中米カリブ海代表と同居できるかが、日本のみならず、上位を狙う国にとってのカギになるとわたしは見る。(金子達仁=スポーツライター)

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