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【コラム】金子達仁

今回の新顔にW杯で見たい選手は… いない。

[ 2025年6月7日 13:00 ]

サッカーW杯アジア最終予選C組   日本 0ー1 オーストラリア ( 2025年6月5日    パース )

<オーストラリア・日本>敗戦しうなだれる日本代表イレブン(撮影・小海途 良幹)
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 0―0のまま前半終了のホイッスルがなると、スタンドからは拍手が起きた。万雷、とまではいかなかったものの、まばら、というほどでもない、そこそこのボリュームがある拍手。パースの観客は、自国チームの戦いぶりにまずまず満足しているようだった。

試合詳細

 驚いた。

 勝て勝て勝て勝てホームやぞ――Jリーグの創設期から、ガンバのホームスタジアムにはサポーターによる垂れ幕が掲げられている。ガンバのみならず、ホームならば勝たなければならない、勝ちを目指さなければならないというのは、サッカーにおけるイロハのイ、のはずである。

 だが、前半のオーストラリアは、まったく勝ちを目指していなかった。彼らが欲していたのは引き分けの勝ち点1であって、勝ち点3を取りにいくリスクは端(はな)から排除しているようだった。三笘がいない、伊東がいない、遠藤がいない、久保がいない……そんな日本に対してオーストラリアが用意していたのは、過剰なまでのリスペクトだった。ほぼワンサイドで試合を支配されたにもかかわらず、監督も、選手も、そしてファンも、まったく不満を抱いていないようだった。

 4年前、日本がカタール行きを決めた敵地でのオーストラリア戦も、ほぼ一方的な内容だった。ただ、4年前のオーストラリアは、一方的にやられたことに衝撃を受けていたし、打ちのめされてもいた。なぜか。彼らは勝ちに行っていたからである。

 今回は違った。少なくとも、その戦いぶりやファンの反応は、同地区のライバルに対して、というよりは、世界の強国を相手にした時のようだった。

 後半に入っても、試合の様相は変わらなかった。日本は久保や中村を投入してさらに攻勢をかけようとしたが、オーストラリアは前半のやり方、コンセプトを保ち続けた。彼らが欲したのは、勝ち点3ではなく、最終戦、敵地でのサウジアラビア戦を勝ち点で上回って迎えることができるという保険だった。

 日本からすれば、引いてきた相手を崩すという、長年の課題に取り組むかのような試合となったわけだが、残念ながら、今回も試験に合格することはできなかった。ボール保持率の割には決定機が少なかったという点などは、ベスト8に終わったアジア杯とほとんど変わっていなかった。

 なので、評価が難しい。

 三笘がいて、伊東がいて、遠藤がいて、つまり主力と言われる選手が全部揃(そろ)っていてこの内容、この結果だったとしたら、アジア杯以降の成長はほとんどなかった、最終予選の快進撃はフロックだった、と断じられてもおかしくない。

 だが、今回の試合に出場したのは、鎌田以外はほぼ控えといっていい選手たちである。個人としての実績も、ユニットとしての成熟も足りないチームが、主力メンバーがホームで引き分けてしまった相手を、敵地でホーム以上に押し込んだ。これはこれで、相当に凄いことなのでは、という気もする。

 とはいえ、今回の新顔たちの中に、来たるべき本大会でどうしても見たい選手はいたか、といえば、う~ん、いない。落第点の選手はいなかったが、合格点の選手もいなかった。平河、藤田……光ってはいたが、主力を押し退(の)けるほどではなかった、というのがわたしの印象である。

 残る最終予選はあと1試合。さて、若い選手たちはどんな戦いぶりを見せてくれるだろう。(金子達仁=スポーツライター)

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