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西野ジャパンはもっと気楽になっていい

<サッカー日本代表練習>指示を出す西野監督(撮影・西海健太郎)
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 ペルージャ、ローマ、パルマ、ボローニャ、フィレンツェ。以前からのサッカーファンであればピンとくる方もいらっしゃるだろうが、W杯を前に、W杯とはまるで関係のない旅をしている。

 これで何回目か忘れてしまうほど足を踏み入れてきたイタリアだが、今回はわたしにとって初めてのイタリアでもあった。モンディアーレ、つまりW杯に出場しないイタリア。58年スウェーデン大会以来、60年ぶりに本大会出場を逃したイタリア。W杯とは無縁の旅とはいえ、空気、雰囲気がどうなっているかは大いに興味のあるところだった。

 何しろW杯4度の優勝を誇る国である。ほんの20年前には「日本人がセリエAで活躍するには100年かかる」と豪語した著名ジャーナリストがいた国である。さすがに関係者は落ち込んでいるのではないか、落日の気配が立ち込めているのではないか。そんな想像をしていた。

 ところがどっこい、カルチョ・イタリアーノは相変わらず元気いっぱいだった。「大会が始まれば改めて喪失感を味わうのかも」と口にした関係者はいたが、イタリア・サッカー界の未来を悲観している、あるいは絶望している人にはついぞ会うことができなかった。

 実を言えば、ちょっと救われた気分になった。

 W杯はあくまでも4年に一度のお祭り。サッカーの日常はあくまでも国内リーグにある。ただ、依然代表チームが国内最大にして最高のチームである日本の場合、W杯の結果がすべての鍵を握っているように考えてしまう日本人は少なくない。勝てばJリーグが盛り上がり、負ければ沈む――。かくいうわたしも、ついそう連想してしまう一人である。

 だが、国民の大多数が見たことのなかった大失態を犯してもなお、イタリアのサッカーは沈んでいなかった。彼らの受けた衝撃は、きっと、日本がロシアで大惨敗を食らった場合に受けるものより、はるかに大きかったはずである。彼らは元世界王者で、負けたのは地域予選で、これから日本が臨むのは本大会なのだ。

 むろん、セリエAとJリーグでは歴史も違えば規模も違う。今回21年ぶりにローマの練習場を訪れたのだが、歴史の重みを残しつつ、しっかりと進化していることに心底驚かされた。匹敵する施設を持つJのチームは、残念ながら、ない。

 ただ、神戸にイニエスタが来るように、今年の日本のサッカーファンには、W杯が終わったあとの楽しみも準備されている。何を言いたいのかというと……。

 W杯出場を逃しても、イタリアのサッカーは死んでいなかった。監督は殺されていないし、亡命した選手もいない。

 だから、西野監督は、選手は、もっと気楽になっていい。「なれるか!」と反論されそうだが、あまりにもW杯という舞台を神聖視しない方がいい。特別なことをやらなきゃ勝てない、なんて考えなくてもいい。

 「負けたらどうしよう」なんてことは、断じて、考えなくていい。(金子達仁氏=スポーツライター)

[ 2018年6月8日 17:00 ]

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