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J2仙台MF遠藤が“東北ダービー”で復興への思いを込めた先制弾「風化させないことが何よりも大切」

[ 2022年3月12日 17:26 ]

明治安田生命J2第4節   仙台3―0岩手 ( 2022年3月12日    ユアスタ )

 特別な試合で、千両役者が被災地を照らす輝きを放った。J2仙台のMFMF遠藤康(33)が1得点を含む全3得点に絡む大活躍。チームは岩手との“東北ダービー”を3―0で制し、ホームでの今季初勝利を飾った。

 前半43分、今オフに鹿島から加入した遠藤が魅せた。「フリーでもらってなんでもできる状況だった」。右サイドでパスを受けると、無数の選択肢から味方とのワンツーを選んだ。ペナルティーエリア外中央からダイレクトで左足を一閃(いっせん)。ボールはバーを叩いて、ゴールネットを揺らした。

 今季2点目は、自身にとってホーム初得点。「いい形でボールが入って、いい位置でポストプレーをしてくれた。自分は決めるだけだった。勝利につながるゴールを決められて良かった」。さらに後半22分と同25分には追加点の起点となり、同34分に途中交代する際には会場に集まったファン・サポーターから大きな拍手が送られた。

 約2万2000人の犠牲者を出した東日本大震災の発生から、きのう11日で11年が経過した。この日は「震災復興試合」と銘打って開催。キックオフの前には「3・11」で亡くなられた方々への哀悼の意を込めて黙とうが捧げられた。そんな大事な一戦に遠藤はある思いを秘めていた。

 「風化させないことが何よりも大切だと思う。(あの日を)忘れちゃいけないし、僕たちがスタジアムでサッカーをできるのも普通のことじゃない。あの時は試合をできる喜びを感じながらやっていた。その気持ちを忘れずにやり続けたい」

 生まれ、育ち、高校までを宮城県で過ごした。“常勝軍団”鹿島で多くのタイトル獲得に貢献し、故郷に戻ってきた男が、1年でJ1復帰を目指すクラブと地元にとっての希望の光となる。

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2022年3月12日のニュース