藤井正弘の血統トピック

初砂で重賞制覇アスコット 母系に確かな二刀流の系譜

[ 2020年2月6日 05:30 ]

 芝G1馬としては01年武蔵野Sのクロフネ以来、今世紀2度目となるダート初出走で重賞勝ちの離れ業をやってのけた根岸Sのモズアスコット。後講釈を承知の上で、快走の背景を血統面から検証しておこう。

 今回のモズアスコットは最終的に離れた3番人気(単勝9・9倍)だった。出走馬中唯一のG1勝ち馬としては少々見くびられた感じだが、血統データ的には納得できる部分もあった。明け3歳まで4世代のフランケル産駒からは世界各地で38頭のGレース勝ち馬が出ていたのだが、全天候馬場のG3勝ち馬が1頭いる以外は全て芝のGウイナー。ダートの大レースがある北米、UAE、日本での試行回数が少ないのは、フランケルの父ガリレオもまたしかりで、これはガリレオが現役時にBCクラシックに挑んで敗れたトラウマを子孫に引き継いでいるという見方もできるだろう。

 モズアスコットは母のインディアが米ダートG2勝ち馬で、いとこに2頭の米ダートG1馬がいる。コンバート成功の決め手は母系の血と考えられるが、さらに踏み込むと母の父ヘネシーにたどり着く。ヘネシーは後継種牡馬のへニーヒューズを経由してアジアエクスプレス(朝日杯フューチュリティS、レパードS)、ワイドファラオ(ニュージーランドT、ユニコーンS)と、過去に芝→ダートのグレード勝ち馬を2頭出している。つまりモズアスコットには、“二刀流”のフィクサーともいえる血脈が装備されていたのである。(サラブレッド血統センター)

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