【クイーンS】ドナアトラエンテ勝負手!初着用チークで集中、重賞初制覇へギア上げる

[ 2021年7月29日 05:30 ]

国枝厩舎2頭で追い切った。ドナアトラエンテ(奥)とマジックキャッスル(手前)(撮影・千葉茂)
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 “牝馬王国”が金銀メダル独占だ。「第69回クイーンS」(8月1日、函館)の追い切りが28日、函館競馬場などで行われ、国枝厩舎の良血ドナアトラエンテがチークピーシーズ着用で圧巻の走りを披露した。名牝ジェンティルドンナの全妹。JRA全10場重賞制覇が懸かる川田を背に待望のゴールドメダルを手にする勢いだ。同じ国枝厩舎のマジックキャッスルも円熟した大人の走りを見せた。

 五輪競技で見せるアスリートたちのパフォーマンスがスポーツ用具に左右されるなら、競走馬のパフォーマンスも馬具によって変わる。ドナアトラエンテの両頬には黒いチークピーシーズ。左右の視界を遮って前方だけに気持ちを集中させる矯正用馬具で、長い眠りから目覚めたような末脚を繰り出した。

 函館Wコースで僚馬マジックキャッスルとの併せ馬。3馬身先行したパートナーのインに進路を向けると、覇気に満ちたフットワークを伸ばしていく。馬なりのまま併入。「美浦で1度チークピーシーズを着用して追い切ったところ、いい動きだったので最終追い切りでも試してみた。これなら大丈夫。レースでも着けたい」。マジックキャッスルの馬上から動きに目を凝らした鈴木助手も満足そうに切り出した。

 名牝ジェンティルドンナの全妹として注目されながら、もどかしいほど伸びあぐねてきた。前走・福島牝馬Sを含めて銀、銅メダル(2、3着)に甘んじること6回。「2、3馬身突き抜けるぞと思わせるほどコーナーを格好良く回ってくるのに、追ってから少しモタついてしまう。我が強い気性なので他馬を気にするのか、気難しさを見せる」。そこで矯正用馬具の初着用。隠し持っていたギアを披露した。

 「2、3歳時は脚元を含めて全体に弱かった。これだけの血統だし、無理しなかった」と振り返る。素質のつぼみが開くまで待ち続けるのが国枝厩舎。急(せ)いては事をし損じる…の国枝イズムが古馬になって大成する競走馬をつくる。「心身共にどっしりしてきた。この牝馬はせかされると嫌気をさすので出遅れるとつらいが、最近はゲートも五分に出るようになった。せかさなくても好位置を取れる」。鈴木助手は競走馬としての進化も感じている。

 クラブ法人の規約により6歳になる来年3月で引退、繁殖入りの予定。現役最後の夏に挑む重賞のゴールドメダル。「どこかで花を持たせたい。チークピーシーズはそのための勝負手です」と鈴木助手。競走馬のパフォーマンスは馬具によって変わる。

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2021年7月29日のニュース