新條まゆ氏 「もう出版社でお仕事できない…」覚悟の投稿 出版界の闇「小学館が圧力」「中間搾取企業」

[ 2024年2月14日 17:30 ]

新條まゆ氏X(@shinjomayu)から

 「快感フレーズ」「覇王愛人」などの人気作で知られる漫画家の新條まゆ氏(51)が14日、自身のnoteを更新。「漫画家が出版社に搾取される時代が始まっている」と題し、漫画業界の内情を克明に明かした。

 新條氏は、昨年10月期放送の日本テレビドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さん(享年50)の急死をめぐり、出版社やテレビ局の対応や業界の問題などについてSNSで自らの考えを発信してきた。

 今回、自身のX(旧ツイッター)では「書き上げたはいいけど、ずっと投稿できずにいた、漫画業界最大の問題かもしれない部分に提言しました。現状を知ってもらって、一人一人が変わらなきゃいけない時代なんだと…今回の件で改めて大企業の変わらない体制には辟易しました。是非読んでみてください」とnoteを公開した意図を記した。

 noteの投稿では、「『搾取』この言葉を使うことに抵抗がなくはないですが やはりそうとしか考えられない現状です…もちろん現場の人は誰も悪くないのですが悪しき慣習が漫画家の首を締めています。普通の方々でも結構知ってる数字かとはと思いますが漫画家が貰える印税率は10%です。これは紙の漫画の印税率です」と明かした。

 紙の漫画が世に出るまでは、漫画家、編集者、写植屋、印刷会社、書店取次業者、書店、倉庫管理業者など多くの人が関わっており、これをまとめていたのが出版社だった。「作品のストーリー作りでも編集部という部署を設けて漫画家と一丸となってヒット作を出すべくサポートする…『お前はただ漫画を描けばいい。後のことは俺に任せろ!!』そんな頼もしい存在でした。だからこそ漫画家は10%という少ない取り分ですが裏方として働いている人たちに残りの90%の印税率を『必要経費』だと考えて手放す契約でサインをしてきました」と回想。

 一方、デジタル配信が主流となりつつある現代、紙に比べて関わる人は減った。

 「編集部と出版社の役割を分けるとすれば配信会社に配信を許諾して、漫画家から貰ったデータを配信会社に横流しするだけ」と指摘。「この一見なにもしてない出版社の電子書籍での取り分はどうでしょう。それは漫画家は知らされてません。ただ、電子書籍での漫画家の印税率は15%~20%という状況。紙の印税率よりもちょっとだけ高いくらい。むしろ20%貰えてる人は少ないんじゃないでしょうか。こんだけ関わる人減ってるのに漫画家のパーセンテージ、低くない?そう疑問に思ったのは小学館から出ていく決意を固めた時。時は電子書籍の黎明期でした」と、紙とほぼ変わらない印税率だと指摘した。

 過去に自身が小学館と対立した際の話として、「すべての権利を引き上げるという段階でも揉めたのですが電子書籍の権利だけは残してほしいと言われました。ですが、お断りをして、当時出版社を通して取引していた電子書籍の配信元にこれからは出版社を通さず、直接取り引きして代わりに配信料を上げてほしいと交渉しました。このことを知った小学館が配信元の会社に圧力をかけました。『そうやって作家と直接取り引きするならうちからいっさい漫画を配信させないぞ』と…」と明かした。

 その後、電子書籍の印税率をめぐり「どんなに交渉しても『他の作家もこの率だから。この契約がひな形だから』と印税率を変えません。出版社が莫大に印税率を搾取してるという構図です。こうなってくるともはや中間搾取企業です」と指摘。

 「これだけ取ってるんだから、作家に還元しようと思わないのかなと…決まりだから、昔からそうだからという理由で一番大事な作家のことを何も考えてない。わたしにとってもはや出版社と契約する利点というのが『編集部があること』のみになっていました」と出版社に対して絶望的な思いがあったという。

 その後、新條氏は編集部を持つ配信取次会社と直接取り引きに切り替えることを思いついた。「今どきな会社で、契約の内容も自由自在。原稿料を貰う代わりに、配信料の率を下げてもらったり逆に原稿料はいらないから、配信料の率をあげてほしいというのも交渉次第です。その時、思いました。『ああ、これからはこういう会社が伸びる。漫画家を大事にする会社と仕事するべきだ。一番頑張ってる人が一番お金を貰えなくて誰が漫画家と寄り添ってるって言えるだろうか』と…漫画家の皆さん、もう一度契約書を見直してください」と呼びかけた。

 成果に見合った交渉をすべきとし、「印税率の内訳を教えてもらってください。めちゃくちゃ嫌がるでしょうけど後ろめたいからだと思います。交渉してください」「わがままじゃないです。当然の交渉です。生きるための知恵をつけてください。もう、出版社におんぶに抱っこは限界が来てます」と切実な思いをぶつけた。

 「わたしは仲良くさせて貰ってる出版社も多いですがこういうこと書くともう出版社ではお仕事できませんね」と覚悟の投稿。

 しかし、「でも『そういう時代』です。漫画家という職業を守るためにはこういうことも発信しなきゃと思ってます。出版社を通さなくても、漫画は描けますし発表できます。搾取されないでください。よきパートナーというのは、搾取しません。臨機応変動いてくれるものです」と記した。

 また、エンタメ業界に向けても「是非漫画家に直接お仕事の交渉をしてください。漫画家は総合プロデュースする能力もあります。漫画だけの仕事じゃなくてキャラとストーリーが必要な仕事であればどんなことでもできると思います。著作権者として全ての利益を自分のものにしたいって漫画家も実際は少ないと思ってます。仕事量に見合った報酬か権利料をもらえば製作委員会に名を連ねてチームの一員としてキャラとストーリーを作るというのもいいでしょう。漫画制作は大変ですからね。アイデアで仕事をするのもありです」と訴えた。

 「大企業の変わらない体制を変えようとしても無理なことがこの10年でわかりました。もう個人の時代です。実際にわたしに来る案件で『出版社を通したくない』という企業はたくさんいます。個人が自由に仕事をして羽ばたく時代。自分が変わりましょう!そしたら企業も変わる。業界も変わる。世の中も変わると思います!」と結んだ。

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