【どうする家康 大河絵(どうする絵)】1年間の“言霊”がよみがえる大河絵巻 制作は“どうする”の連続

[ 2023年12月30日 18:01 ]

イラストレーターの石井道子氏が描いたNHK大河ドラマ「どうする家康」大河絵巻
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 嵐の松本潤(40)が主演を務めたNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)は今月17日、15分拡大で最終回(第48話)が放送され、完結。29日(後1・05~5・49)には総集編(4章構成)もオンエアされた。イラストレーター石井道子さんによる「大河絵」もクセ強キャラが再集結した今回の“大河絵巻”で完結。「どうする」の連続だった1年間を、制作“秘話”を交え振り返る。

 「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどの古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛けた大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描いた。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となった。

 昨年の三谷幸喜氏脚本「鎌倉殿の13人」のイメージイラスト全48話分と3枚の“大河絵巻”を描いた石井道子さん。“大河絵”“鎌倉絵”“殿絵”と人気を博した。

 2作目の連載となった「どうする家康」。昨年の「鎌倉殿の13人」に負けず劣らずの“クセ強キャラ”が作品を彩った。登場人物は昨年を上回り、物語の展開も一話一話にヤマ場や登場人物の注目のシーンが散りばめられていた印象を受けた。

 スポニチアネックスの大河絵チームは、“主演”の石井さんに加え、放送を見て描くシーンを話し合うサポート担当が2人。計3人で放送翌日の月曜日に打ち合わせる。それぞれの“名シーン”や印象に強く残った場面を出し合い「どうする?」。“あそこも良かった”“あの表情は捨てがたい”“ここは石井さんの絵で絶対に見たい”…「どうする?どうする?」。編集サポートの2人の好き勝手な「どうする」意見はあくまでも参考意見で、その意見を笑顔で聞いている石井さんは“優しさ”で2人の“熱いだけの感想”をくみ取りながら、自身が視聴からイメージしたものを頭の中で具体化していく。

 「大河絵」というジャンルには多くの作家がおり、放送当日直後に素晴らしいイラストがSNS上に登場する。しかし、石井さんのイラストは翌週の放送前に配信。1週間遅れの理由は、役を演じる俳優たちの細やかな表情、そして演出側の細かなこだわりやサプライズも表現したいという石井さんの思いであり、こだわりでもある。

 1年間に渡る放送、それを超える撮影期間だからこそ表現できるスケールやこだわり、そして伏線の数々…。昨年の「鎌倉殿」も今年の「家康」も、脚本家、演出チーム、そして俳優たちの物凄い熱量とこだわりが詰まっていた。「史実と違う」といった声も聞かれたが、最終回に天海・小栗旬が“伝承の訂正”を堂々と行っていたサプライズシーンもあったが、映像や音声、公式文書が残る近現代史以外の教科書や本などで見聞きする「史実」はあくまで「通説」という考え方もある。多くのファンや歴史好きの皆さんが1年間をかけて日曜日が来るのを心待ちにする壮大で長い歴史を持つ「大河ドラマ」というエンターテインメント。楽しむ、振り返る、賛否含めて語り合うひとつのきっかけになれば…と描き続けた2年連続48話48枚の「大河絵」でした。

 魂は細部に宿る――。大河に関わる全ての人たちの思いを背負いながら演じる俳優陣の“言霊”が今にも聞こえてきそうな石井さんの“大河絵巻”。「どうする」の連続で48話の本作に描くことができなかったキャラも数人書き下ろしています。“隠れキャラ”を探しながら、1年間、家康や家臣団たちが生き抜いた乱世を思い返してもらえれば幸いです。

 今年も大河絵を楽しみにしてくださった皆さま、応援してくださった皆さま、1年間ありがとうございました。

 ◇石井 道子(いしい・みちこ)絵描き。千葉県生まれ。清野菜名と松下奈緒がダブル主演を務めたテレビ朝日の昼帯ドラマ「トットちゃん!」(2017年10月期)劇中画を手掛ける。「ALL OF SHOHEI 2021 大谷翔平写真集」「スポニチ URAWA REDS 2021 浦和レッズ特集号」(スポーツニッポン新聞社)などにイラストを掲載。スポニチアネックスでは昨年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に続いて2度目の大河絵連載。

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