「どうする家康」松重豊「大河は昔話ではない」現代に通じる数正出奔 LINEで絆→過酷撮影も乗り越えた

[ 2023年9月3日 20:45 ]

大河ドラマ「どうする家康」第33話。石川数正(松重豊)は徳川家康に背中を向けたまま…(C)NHK
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 嵐の松本潤(40)が主演を務めるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)は3日、第34話が放送され、謎に包まれた家臣団の要・石川数正の出奔(天正13年、1585年)の“真相”が描かれた。初回(1月8日)から数正役を好演してきた俳優の松重豊(60)は、この回をもって“退場”。同局を通じて2500字以上のコメントを寄せ、1年以上にわたった撮影を振り返った。

 <※以下、ネタバレ有>

 「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどの古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となる。

 第34話は「豊臣の花嫁」。打倒・豊臣秀吉(ムロツヨシ)を誓ったはずの石川数正(松重豊)が豊臣方に出奔し、徳川家中に衝撃が走る。敵に手の内を知られたも同然となり、徳川家康(松本潤)は追い詰められるが、未曽有の大地震(天正地震)が発生。両軍、民の救出が先決となる。秀吉は妹の旭(山田真歩)を家康の正室にし、さらに老いた母まで人質に差し出し、上洛を迫る。屈服か、全面対決か。家康は“究極の2択”を迫られる…という展開。

 数正が残した木箱の中に、瀬名(有村架純)の押し花。於愛の方(広瀬アリス)は「今はなきあの場所(築山)を、数正殿はここに閉じ込めたのではありませんか。いつも、築山に、手を合わせておられたのではありませんか」。家康は押し花を手に取り、数正を思うと、涙がこみ上げた。

 家康は上洛を決断。「わしは、天下を獲ることを、あきらめてもよいか」。「数正のせいじゃ」(忠勝)「そうじゃ、数正が裏切ったから、やむを得ん」(康政)「奴のせいで、わしらは戦えなくなった。責めるなら数正である」(忠次)「数正のせいじゃ。殿は悪くない」(直政)「すべて数正じゃ。裏切り者め」(元忠)「数正のたわけ」(康政)「数正のあほたわけ」(忠勝)「あほたわけ」(家康)――。一同が涙に暮れた。

 大坂、数正の屋敷。鍋(木村多江)は「誠に、殿がお好きでございますな」。数正は周囲に聞かれぬよう「しーっ。あほたわけ」。水入らずの夫婦は笑い合った。

 ▼家康と家臣団について

 最初は小さな会社だった“徳川商店”。今川家の人質時代から家康を支えている古参の家臣たちに、平八郎・小平太・直政のような若いメンバーも加わってきました。小さな会社がじわじわと大きくなり、運良くどこにも飲み込まれず、何とかここまでやってきた。家康は本当に運がいいなと思います。

 演じる上でも、家臣団内の位置関係、上下関係、人間関係を、僕らが生きている現代に落とし込み「もし“徳川商店”に勤めていたら…」とリアルに考えていました。大河ドラマといえど、決して昔話ではないと思うんです。社会の在り方も変わり、僕らがここ20~30年の間に経験して“当たり前”と思っていたことが、既に“当たり前”ではなくなっている。まして1600年前後には、更に大きな変革期があったでしょうし、それにどう対応していくか、どうすれば生き残れるかというのは、まさに現代を生きる僕らも突きつけられている現実だと思います。大河ドラマを見て「オレたちの会社のことを言ってるかもしれない」と思えたり、時代は違えど身につまされる思いになったり。そういう視点でご覧いただくこともできるのかなと思っています。

 そう考えていくと、34回で描かれた出奔に関しても、数正にとっては“組織で働く”ことの葛藤や難しさがあったのだろうと。小牧長久手の戦いで勝利はしたものの、勝ったのは偶然と捉えていたのは、家臣団の中で数正だけだったのかもしれません。天下を獲る戦国大名がどれだけ海外と交流し、どれだけの武器を手に入れ、どれだけ強大な勢力になっているか。現実を見極める力が、家臣団にはまだそれほどなかったのかもしれません。だからこそ、色々なことに気づく目を持っていた数正は、苦しさや葛藤も抱えていただろうと想像しました。

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