尾上菊之助 義父・吉右衛門さん死去に号泣 とても優しい「じいたん」でした

[ 2021年12月3日 05:30 ]

涙を流しながら中村吉右衛門さんへの思いを話す尾上菊之助(撮影・光山 貴大)
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 歌舞伎俳優で人間国宝の中村吉右衛門さん(享年77)が11月に死去していたことが明らかになってから一夜明けた2日、娘婿に当たる尾上菊之助(44)が東京・歌舞伎座で公演後に取材に応じ、涙ながらに「尊敬するとても優しい父でした」としのんだ。

 この日に親族葬を済ませたことを報告。自身の長男で吉右衛門さんがかわいがった孫の尾上丑之助(8)が描いた絵や、家族で書いた手紙などを棺に納めたと明かした。

 吉右衛門さんが亡くなった11月28日は丑之助の誕生日だった。ケーキで祝っている時に訃報が届いたといい「とてもじゃないがその場では子供に伝えられなかった。2日後に“これからは毎年、じいたんに感謝の気持ちを祈って誕生日を迎えよう”と約束しました」と語った。

 丑之助は「心にぽっかり穴があいたよう」にショックを受けている様子だという。「岳父(吉右衛門さん)は孫を本当にかわいがってくれました。丑之助の芝居も見たかったでしょうし、共演もしたかったでしょう」と思いをはせた。くまのプーさんが好きだった吉右衛門さんとは「休みになると家族でディズニーランドに行って、プーさんの(アトラクションの)ハニーハントに乗るのが楽しみでした」と振り返った。

 最後に吉右衛門さんに会ったのは亡くなる前日の11月27日。意識はなく「物思いにふけっているような感じ」に見えたという。吉右衛門さんが倒れたのは3月28日。その2日前、国立劇場三月歌舞伎で明智光秀役に初挑戦した自身のことを「よくやった」とねぎらってくれたという。「倒れる2日前だったから(体調が)つらかったはずなのに。私のことを…」と言うと涙があふれ、ハンカチで両目を覆った。

 親族葬の喪主は吉右衛門さんの妻知佐(ちさ)さんが務め、戒名は「秀藝院釋貫四大居士(しゅうげいいんしゃくかんしだいこじ)」。関係者によると、片岡仁左衛門(77)、市川海老蔵(43)ら多数の歌舞伎関係者からの供花があった。

 菊之助は「どんなにつらくても芝居で出し惜しみをしなかった。芸の模範でした」と偉大な義父をしのんだ。

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