藤井フィーバーが町工場を救う ジュラルミン製「極小将棋セット」脚光浴びる

[ 2020年7月13日 05:30 ]

ジュラルミン製のミニチュア将棋セット
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 将棋の第91期棋聖戦と第61期王位戦のダブルタイトル獲りに挑戦している藤井聡太七段(17)の活躍にあやかり、岐阜県の精密部品製造会社「コーキ・エンジニアリング」の伏屋勝彦社長(51)が、ジュラルミン製の極小将棋セットを製作し、一般販売することが決まった。

 サイズは実物の約6分の1。将棋盤は縦91ミリ、横84ミリの手のひらサイズ。駒も、王が縦7・8ミリ、横7ミリ、歩が縦6・8ミリ、横5・5ミリという小ささ。重さは約1キロだ。材料はアルミ合金の中では最高クラスの強度を誇る「超々ジュラルミン」を使用。人工衛星や航空機の部品に使われるもので、同社が航空機の客室部分の部品や、自動車のギアを2次下請けとして製作してきた経験を最大限に生かした。

 同社は、新型コロナウイルスの感染拡大により4月以降、受注が激減。時間に余裕ができたため、伏屋社長は「加工技術の高さを示す見本として、そもそもは従業員の育成のために作ったもの」と明かした。車の部品などではなく、身近なものを作った方が技術力が分かってもらえるとして、将棋盤セットにしたという。

 地元のテレビ局で取り上げられたことを機に、6月下旬には同社の公式ホームページと公式ツイッターを開設して紹介。将棋ファンから「販売している?」との問い合わせが殺到した。

 あまりの反響の大きさに商品化を決定。「販売する以上、もっと精巧なものにしなければならない」(伏屋社長)と、駒の文字を毛書体のよりリアルなものにグレードアップするという。細かい文字を刻むために、50万円以上をかけて細い削り針も導入した。すでに、地元・岐南町から、ふるさと納税の返礼品にしたいとのオファーも届いたほか、将棋大会の副賞とするプランも持ち上がっている。

 「6月は収入が通常の半分以下でした。どこまで売れるか分かりませんが、なるべく安く提供できるよう頑張りたい。隣の愛知県は将棋熱が凄いですからね。もちろん、藤井くんの応援もします」と伏屋社長。価格は5万円前後を予定。藤井の快進撃は、コロナ不況に見舞われる町工場も元気づけている。

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