違法ダウンロードに刑事罰 漫画など静止画に適用拡大 文化審議会が最終報告案

[ 2019年1月25日 13:12 ]

 文化審議会の小委員会は25日、東京都内で会合を開き、著作権者に無断で公開された漫画や小説など「静止画」のダウンロードを違法化し、刑事罰を科すとした最終報告案を取りまとめた。文化庁は28日召集の通常国会に罰則適用を盛り込んだ著作権法改正案を提出する方針だ。

 最終報告案は、漫画などの海賊版サイトによる被害が拡大し、規制の必要性があると強調。現在は映像と音楽に限定している違法ダウンロードの対象を、静止画を含む著作物全般に拡大することが「有力な選択肢」とした上で、政府に検討を要請した。ただ対象拡大を巡り委員から慎重意見が相次いだことから、小委は、案文を一部修正する可能性を示唆した。

 有償で提供される著作物のダウンロードを対象に想定しており、映像や音楽と同様、2年以下の懲役か200万円以下の罰金またはその両方を科すのが適当とした。

 抑止効果を高めるため、悪質な海賊版だけでなく、個人のブログや会員制交流サイト(SNS)に取り込まれた違法著作物も罰則対象となる見込みだ。

 また利用者を海賊版サイトに誘導する「リーチサイト」の運営や、リンク情報の提供に対しても刑事罰を導入するべきだと明記。罰則の内容は政府が今後検討する。

 この日の会合で委員の一人は「文章などの静止画は、知的な生産活動の資料として収集されている」と指摘し、著作物全般を違法化の対象とすることに慎重な見方を示した。別の委員は「海賊版対策は海賊版サイト限定で行うべきではない」と述べ、個人による違法ダウンロードも規制対象とする必要性を強調した。

 政府は、海賊版サイトの閲覧を強制的に止める「接続遮断(ブロッキング)」の法制化も目指したが、有識者会議で慎重論が相次ぎ、断念した。(共同)

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2019年1月25日のニュース