王将戦・戦国時代(2) 久保王将 秀吉ばり!?敵情視察で“開戦”待つ

[ 2018年9月29日 18:00 ]

豊臣秀吉に扮する久保利明王将(撮影:浦田 大作)
Photo By 提供写真

 将棋の第68期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の挑戦者決定リーグ戦が開幕した。昨期の残留4人に加え、予選を勝ち抜いた3人の計7者による、棋界で最もハードな総当たり戦。果たして久保利明王将(43)に挑む権利を手にするのは…。参加7棋士に加え、7番勝負で挑戦者を待ち受ける久保王将の8人が戦国武将に扮(ふん)し、それぞれ心境を語った。全8回の連載をお送りする。

 選んだ甲冑(かっちゅう)は豊臣秀吉。「インスピレーションで(笑い)。本当は出身地(兵庫県)にちなんで黒田官兵衛なんですけど、まあ主人公の方がいいかな」と王将は理由を明かす。

 昨期は豊島将之八段(当時)を4勝2敗で下しタイトル防衛した。生粋の振り飛車党として有名。前期は居飛車を主戦とする豊島が相振り飛車を採用して周囲を驚かせ「かなり意表を突かれた。自分が半年くらいかけて準備してきたものが、ほとんど出せなかった」と振り返るが、終わってみれば貫禄の勝利。通算4期目となり、王将戦の「顔」として定着しつつある。

 戴冠者にとって、挑戦者決定リーグ中は待つ身。「過密日程を1人だけやらずにタイトル戦に出られるというのは、凄くありがたみを感じます」と実直な心境を明かす一方で「敵情視察」も意識している。

 「見ていられる分、楽は楽ですけど(笑い)最強リーグで1位になった人が挑戦してくるわけですから、自分も準備を急がないといけないというイメージですね」。もちろんリーグ戦の棋譜チェックは欠かさない。

 王将戦で最も印象に残っているのは09年の第59期。羽生善治王将(当時)に挑み、4勝2敗で初の王将位を奪取した。「最後の第6局が凄く激しい将棋で超急戦だったんですけど、最後は奇跡的に自分の王が詰まなくて勝ちという劇的な最後だったので」。当時の立会人だった行方尚史・現八段が「お祝いだから一緒に飲もうよ」と誘ってくれたのがうれしかったとか。

 羽生世代の少し下に位置して一時代を築きつつあるが、気がつけば今回の挑戦者決定リーグ戦はさらに下の世代が台頭してきた。その大部分は居飛車党。プロの中では少数派の振り飛車党としても心穏やかではないだろう。それでも久保は柔らかな笑みを浮かべながら言う。

 「振り飛車の火を消さないように、できるだけ長く活躍したいんです。そのための準備と努力は続けたいなと」。視線の先には来年1月開幕の7番勝負が鎮座している。(我満 晴朗)

 ◇久保 利明(くぼ・としあき)1975年(昭50)8月27日生まれ、兵庫県加古川市出身の43歳。93年四段に昇段し、タイトル獲得は王将4期と棋王3期。6級で森信雄七段に入門。1メートル66、69キロ。

 このインタビューの全文はlivedoor NEWSに掲載される。

 http://news.livedoor.com/article/detail/15366432/

続きを表示

この記事のフォト

2018年9月29日のニュース