「絶対零度」 好調維持のカギを握る中盤と全体に仕掛けられた“2つの謎”

[ 2018年9月1日 06:10 ]

フジテレビ「絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜」の主演を務める沢村一樹
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 第2話を除いたすべての回で2桁視聴率を維持し、不振が続いていた“月9”で久々のヒットを記録しているのが「絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜」(フジテレビ、毎週月曜午後9時)だ。

 上戸彩演じる新米刑事を主人公にして「未解決事件特命捜査」(10年)、「特殊犯罪潜入捜査」(13年)と捜査班の舞台を変えながら続いてきた人気シリーズ「絶対零度」だが、今作では未来の犯罪を未然に防ぐ“未然犯罪捜査班”というこれまでにない斬新な設定に加え、前作まで主演だった上戸彩がサブストーリーに回り、沢村一樹に主演をバトンタッチするという大幅な変更を試みた。それでもこれまでのファン視聴者の期待を裏切ることなく、好調をキープさせている理由はドラマに仕掛けられた“2つの謎”にあった。

 最近のヒットドラマの傾向に“刑事もの”が当てはまるのは、事件が発生し解決するという一連のストーリーが初見でもわかりやすく、それが1話で完結するため視聴者にとって見やすいという点が挙げられる。だが今作は1話完結の物語をベースとしながらも複数話に渡って伏線が張りめぐらされた“2つの謎”を用意し、視聴者が次回も見たいと思わせることに成功した。

 最初の謎は中盤で明かされた“処刑人”。これは2、3、5話で逮捕することができず裁きを免れた犯罪者が何者かに殺され“天罰が下った”のだが、その“処刑人”が一体誰なのかということ。テレビの視聴状況を独自に調査している「テレビ視聴しつ」(エイト社・東京、対象960人)に集まった感想によると「悪に必ず鉄槌が下る…今後が楽しみ」(72歳女性)、「だんだん明かされる謎が気になる」(32歳女性)、「悪をやっつけている処刑人が誰か気になる」(53歳女性)など、この“処刑人の謎”が次回も見たいと思わせる効果を生んでいた。

 その“処刑人”の正体が実は捜査班の中に存在していたという事実が6話で早くも明かされるという展開。レギュラー出演者に裏切り者がいるという大きなどんでん返しは、最終回付近など終盤に明かされるのが定石だが、思いがけず中盤で種明かしをしてみせるこの構成によって、仲間を失った捜査班はどうなるのか?と今後の展開をさらに深く楽しませる要素にもつながった。

 2つ目の謎は全体を通して解明される(であろう)“前シリーズの主人公”だ。これは前作の主人公で上戸彩演じる桜木が失踪した後に彼女と思われる焼死体が発見され、それが今回の主人公である沢村一樹演じる井沢と関係しているのではないかという謎だ。これには「上戸彩の登場が待ち遠しい」(67歳男性)、「上戸彩の存在はどうなっているの?もっと詳しく!」(50歳女性)、「桜木さん(上戸)を殺さないで」(56歳女性)など、特に前作までのファン視聴者にとってより興味を引く展開となっている様子。まだまだ残された謎によって視聴者をぐいぐい引き付ける。

 2つの謎を用意し、その1つを中盤で明らかにさせるという凝った作りなかなか。出演者の魅力やストーリーの面白さはもちろんだが、細かな構成にまで工夫を凝らし視聴者を楽しませようとする姿勢こそが視聴者をドラマの中にさらに引き込む大切なカギとなっている。

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2018年9月1日のニュース