「モンクリ」凱旋の葉山ヒロ ジャッキー・チェンの金言 香港などで20年“長生きの秘訣”とは

[ 2018年5月31日 11:00 ]

葉山ヒロインタビュー(下)

木曜劇場「モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―」で日本の連続ドラマに初出演した国際俳優の葉山ヒロ。31日放送の第7話はキーマンに(C)フジテレビ
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 香港や中国を拠点に活躍している国際俳優の葉山ヒロ(43)がフジテレビ木曜劇場「モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―」(木曜後10・00)第6話(24日放送)で日本の連続ドラマ初出演。第7話(31日放送)はキーマンになる。23歳の時、台湾旅行時にスカウトされ、現地でモデルに。その後、26歳の時、香港の至宝ジャッキー・チェン(64)の事務所にスカウトされ、俳優業に進出した異色の経歴の持ち主。思いがけず“逆輸入”となった今回の日本凱旋が国内外に反響を呼んでいる葉山を直撃。異国の芸能界を渡り歩いた20年を振り返り、ジャッキーからの“金言”や「過去に囚われない」生き方、今後の展望などを明かした。

 ――葉山さんは香港アカデミー賞を総なめにしたジャッキー・チェンさん主演のアクション映画「香港国際警察」(日本公開2005年)にも出演。葉山さんにとってジャッキー・チェンさんはどのような存在ですか?

 「唯一言えるのは『芸能人であるあり方を教えてもらった』んです。『香港国際警察』の撮影の日の夜、若手でみんなで集まって飲んでいた時だったんですけど、ジャッキーはずっとスターじゃないですか。だから、いろいろなものを見てきていますよね。その席でジャッキーから『自分たちはたまたまこの業界にいて、たまたまこのお仕事をしているだけだから、偉そうにするとか、芸能人だから…とかいう考えは一切持つな』と言われたんです。そこにいた僕たちは、みんな感動したんですよね。芸能人だから偉いんじゃなくて、芸能界というところで、たまたまお仕事をさせていただいている、と僕たちは捉えているんですよね。だから、僕は香港で普通に、変装もせずに、普通に食べたり歩いたり地べたに座ったりしています。みんな、そうなんですよ。その生き方を教えてもらいました」

 ――モデルから俳優の道に進もうと思ったのはいつ頃、どのようなきっかけからですか?

 「(笑)。これは全くないんですよ。全くなくて入っちゃったので、ジャッキーの事務所と契約して一番始めに『今日から、おまえはスターになるから』って言われても、分からなかったくらいですから…。だから、あまり言いたくないんですよ。みんなから嫌われちゃうので(笑)。だからタイミング、タイミングでここまで来ていて、今回の『モンテ・クリスト伯』のオファーもタイミングで、本当にたまたま日本にいた時に『来てください』と言われたような感じで…」

 ――ジャッキー・チェンさんの事務所に8年在籍の後、現在は独立。中国で製作会社を持ち、映画プロデュースなども。台湾、香港、中国と20年、芸能界を渡り歩いてきました。一番の転機は何ですか?

 「うーん…別に転機ってないんですよ。だから毎回の撮影が僕にとっては転機ですね。僕、毎回の撮影を新人のつもりで行っているんです。学ぶところが絶対あるんですよ、どの撮影現場も。毎回、観察しちゃいますね。エキストラにはエキストラですごい人がいるし、もちろん主役は華があるし…他にもいろいろ…業界の人じゃない角度で見ちゃいますね」

 ――台湾、香港、中国で20年続けてこられた理由は何だと思いますか?途中で日本に帰ろうと思ったことはなかったのですか?

 「言っちゃっていいの?(笑)宣伝しないこと(爆笑)。もともと、この業界も興味がなくて、目立つのも嫌なんですよね。23歳の時に主演で呼ばれた台湾の1本目のCMは、エキストラとチェンジされました。その時も感じたクソーって思う気持ちが勝っているから、やっているんですよ。この人にできるんだったら僕もできるし、僕ができるんだったら、たぶん今、目指している人もできるんですよ。そういう風に考えちゃうんですよね。『どうやって芸能界に入れるの?』って聞かれることもあるけど『僕が入っているから入れるよ』って、いつも言いますもん。そして、日々辞めようと思ってますよ(爆笑)。今回、こういう形(日本の連続ドラマに初出演)でニュースに出させていただいて、知り合いからのメールの返事に『最初で最後だから、すごくプレミアだよ』って返しました。今回は今回で一区切りで、僕は作品が終わったら忘れちゃうタイプなので『今まで何に出ていたの?』って聞かれても、いろいろ出ているはずなんですけど、覚えていないんですよ。だから友達から『昨日(出演作が)流れていたよ』って言われて見てみると『ああ出てた、出てた』ってなるっていう。過去に囚われないんです。今、頂いているチャンスがタイミングがたまたま合っているので、仕事を受けさせていただいているんですけど…。感覚で生きています」

 ――ご自身の出演作を見返すことはないですか?

 「ほとんど見ないですね。プレミア(試写会)などで行かなくてはいけない時も、結講、記者から逃げています(笑)。主演だったら、もちろんその場には立たせてもらうんですけど、準主演とか2番手・3番手などになると、僕は『主演がいるんだから、僕が行っても仕方ない』と言って横から入ったり、記者から逃げたりとか。それが長生きの秘訣なんですよ(爆笑)」

 ――台湾旅行でスカウトされた23歳の時、現在の自分を想像していましたか?台湾旅行でスカウトされていなかったら、今は何をしていると思いますか?

 「今の自分はもちろん、全然、想像していないです。自分が今、何でこの仕事をやっているのかな?って、いまだに疑問なんですよね。そういうチャンスを頂いていることには感謝しますけど『何でだろう?』と思うこともあります。例えば、向こうの映画に出て、有名な人からアフターパーティーなどで『この映画は本当に良かった』と言われても、自分では分かっていないんですよね。『何が良かったんだろう?』って。ずっと疑問が残るんです。『あれをもう少し何分か引き延ばしてもらえれば、賞をとれてたよ』というくらい褒められたこともあるんですけど『なんで?どこが?』って疑問なんですよね。そして、スカウトされていなかったら…会社経営か、貿易関係の会社をやっていると思います」

 ――俳優業、映画プロデュースなど、今後の芸能活動の展望を教えてください。活動の場を日本に移すことは考えていますか?

 「やってみたいことは『日本とアジアとの融合』ですね。香港の映画業界は今、あまり活気がなくて、日本は波がありますので、いかに中国市場に入り込むかをみんな研究すればいいのに、って思います。役者さんももっと輩出すればいいし、“逆輸入”って言い方は個人的にはアレなんですけど、そうではなくて『自分のいる場所にいるだけ』なんですよ。自分が輝ける場所にいるだけなので。アジアでいろいろ活躍している人はいっぱいいるんですよね。もっと輝ける場所を作ってあげられればいいんじゃないかと思ったんです。昔、アジアで活躍している人だけで映画を作ろうかなと思ったんですよ。いろいろな言葉が出てくるじゃないですか。それをやればいいな、と思ったんです。こういうアイディアはいっぱいあるんですけど、面倒くさがりなんですよね(笑)」

 ――今回の「モンテ・クリスト伯」の現場はいかがですか?

 「今回、すごくやりやすくて、役者さんも生き生きと自由に演じられる雰囲気だったので、素晴らしいと思いました。アジアの現場が大体こんな感じなんです。監督がお酒を飲みながらとか…それはやっちゃいけないんですけど(笑)、それくらいリラックスしていて。緊迫している状況と、リラックスしている状況では役者は全く演技の仕方が違うんですよね。失敗を恐れてできない、とかあるじゃないですか。自由な発想で演技して、アドリブでいいんですよ。だから、この現場のスタッフは伸びると思います。香港のスタッフにも言いましたもん。『日本はこれからだよ』って。やっと、この雰囲気ができたと思って」

 ――となると、また日本で仕事をすることもありますか?

 「必要ならば…(爆笑)」

 =終わり=

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 今作は「巌窟王」のタイトルでも知られる仏作家アレクサンドル・デュマの原作小説「モンテ・クリスト伯」(1841年)を現代日本に置き換え、俳優のディーン・フジオカ(37)が主演を務めるノンストップ復讐劇。主人公・柴門暖は冤罪により、幸福の絶頂から15年間、投獄。そこから投資家「モンテ・クリスト・真海(しんかい)」となり、3人の男、南条幸男(大倉忠義)神楽清(新井浩文)入間公平(高橋克典)への復讐に突き進む。

 ドラマは後半に突入。真海(ディーン)が緻密に計画した復讐の種が芽を出し始め、緊張感ある展開にSNS上もヒートアップしている。葉山が演じるのは、謎の香港マフィアのダニー・ウォン役。ダニーは幸男(大倉)の過去を知るだけに、真海が裏切られた親友・幸男への復讐を進めるにあたり、カギを握る男になる。劇中、広東語と日本語、両方のセリフを操る。

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