「れなっち総選挙」11万人超を引きつけた加藤玲奈のセンス&MC力

[ 2016年9月5日 09:55 ]

AKB48の加藤玲奈

 予想以上に面白かった。8月28日に行われたAKB48の「第2回れなっち総選挙」。加藤玲奈(19)が独断で選抜メンバー16人を決めてしまう斬新な催しだ。インターネットの「SHOWROOM」で生中継され、誰もが無料で鑑賞することができた。

 出演者は加藤玲奈ただ1人。立候補者168人は手のひらサイズの全身切り抜き写真。生中継が始まると、総選挙開票イベント会場を模した小型セットに、加藤はそのメンバー写真を一つずつ並べて行った。

 “全候補者入場”が完了するまでの所要時間は15分超。中腰の態勢で作業を続けた加藤が途中で「腰痛い…」と顔をゆがめた場面がまず笑えた。

 いよいよ発表となり、実際の総選挙でおなじみの開票結果入りアタッシェケースが登場。加藤は「16位の発表です」と宣言した後、ハサミで封筒を開けると、自分で選んだ結果にもかかわらず驚いた表情を浮かべて見せた。なかなかの芸達者ぶりで、ここも笑いを生んだ。

 16位は昨年の覇者の田中菜津美(16)。「最終得票数は加藤玲奈の1票」と当然のことを言い添えるところがまた笑えたが、この時点で、生中継の視聴者が5万6000人に及んでいたことに驚かされた。

 中継を盛り上げたのは、選んだメンバーへの生電話だ。15位の中井りか(19)は加藤の電話を受けると「私でいいんですか!?大きなチャンスをもらえてうれしい」と大喜び。10位の木崎ゆりあ(20)は加藤が自分のことを「しゃべらなければかわいい」と評しているのを聞くと「1発入れるぞ!」とドスの利いた声。3位の田野優花(19)は自分が1位じゃないことに「なんで3位!?」と怒りをにじませた。そんな微妙なやりとりが、虚実入り交じった上質のエンターテインメント性を漂わせた。

 1位は小栗有以(14)。加藤は選んだ理由について「本当にアイドルで、今もかわいいけれど、もっとかわいくなる。ゆいゆいをもっと知ってほしい」と説明した。

 イベント終了時の視聴者は、なんと、11万7322人。驚異的な数字だった。

 成功した理由は、まず加藤のキュートさ。1時間半以上にわたり、1人の出演者を凝視し続けられるのは、それに耐えられるルックスが備わっているからだ。

 そして、加藤のセンスの良さ。16人の中に自分を入れてしまうと興ざめになるところを回避し、1位を売れ筋のメンバーではなく誰もが予想しなかったであろう小栗にした感覚は見事だった。1人でイベントをもたせたMCの意外な巧みさも特筆すべきだろう。

 選抜16人は今後、写真集を発売し、ユニット曲も歌う。加藤は「私もプロデューサーとして盛り上げていきたい」と張り切っている。

 この勢いに乗り、来年の第3回は、AKBの新たなライブイベントとして、どこかの会場にファンを集めて開催してほしい。もちろん、出演者は相変わらず加藤ただ1人で、あとは生電話というマイナーさが重要だ。それでも、秋葉原のAKB劇場は間違いなく超満員になるだろう。

続きを表示

2016年9月5日のニュース