志田未来 「もう学生という武器は使えない」恩人の言葉に成長意識

[ 2016年5月8日 10:40 ]

女優として活躍の場を広げる志田未来
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 小学生時代から高い演技力を評価されてきた志田未来(22)。10代前半に鮮烈なイメージを世間に与えた“14歳の母”が舞台という空間で新境地に挑んでいる。昨年11月の初挑戦に続き、夏には東京・パルコ劇場で「母と惑星について、および自転する女たちの記録」(7月7~31日)に出演する。子供時代から活躍してきたゆえの悩みを抱えつつも、それを克服しながら色気を携えた大人の女優として歩き始めている。

 赤が強調されたリップの色に少しドキリとした。とびきりの演技で思春期の中学生を演じていたのは、そんなに遠い過去ではない。近所に住む中学生だった女の子と久しぶりに会ったら化粧をしていた、というような感覚。「この前、映画の撮影で制服を着たんです。違和感は全然ないんですが、そこにはしがみつけないので」。本人も“大人の女性”への成長を意識しているようだ。

 20歳になった時、かつての出演映画「誰も守ってくれない」(09年公開)の君塚良一監督に「もう学生という武器は使えない。大人としてやっていくんだよ」と言われた。同映画で志田は日本アカデミー賞新人俳優賞を獲得。この世界の恩人の言葉は「甘えは許されない。自分で女優人生を切り開いていかないと」という意味と捉えた。

 6歳でこの世界に入ってから、仕事のほとんどが映像作品だった。「ずっと同じところにいても成長がない。でも、監督の言葉でもっとできることはあるんじゃないか、と思ったんです。その一つが舞台でした」。

 元々演技派として定評はあっただけに、本人の希望は時間がかかることなく実現する。それが昨年11月に約1カ月かけ全国を回った公演「オレアナ」だった。しかし「そんなに早く決まるとは思わず、心の準備も整わないままの稽古入りでした」と苦笑いする。

 大学教師と学生のセクハラをテーマにした作品で、幸いだったのは俳優の田中哲司(50)との2人芝居だったこと。2人だけの空間に集中すれば良かったし、何よりパートナーが百戦錬磨なのも心強かった。

 それでも公演期間中の約1カ月は「不安と緊張でどうかなりそう」だった。とても客席を直視することなどできず「上演中はずっとコンタクトを外して、ぼやーっとした視界でやっていました」。舞台上の独特な空気感にも困惑した。自分のセリフで客席の空気が張り詰めると「演出効果なのに、うわ、まずいこと言ったかも…と思ったり。こんな経験はドラマや映画の現場ではしたことなかった」。ただ舞台での貴重な体験で、自分が少し前に進んだような気になった。

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