3冠日テレなぜ強い?現場で聞いた「風通しの良さ」と「シンプルな目標」

[ 2016年5月8日 09:00 ]

今年も好調の日本テレビ

 3冠王者・日本テレビが好調だ。視聴率2年連続3冠(全日=午前6時~翌日午前0時、ゴールデン=午後7~10時、プライム=午後7~11時の各時間帯で年間視聴率首位)に輝き、16年もここまでバラエティー、ドラマ、情報・報道部門で安定した数字を稼いでいる。日テレはなぜ強いのか?現場の声を聞いた。

 
 14年に視聴率3冠の座に就いてなお、攻めの改編を行い、15年4月期から新設した日曜午後10時30分からの1時間ドラマ枠。「デスノート」「エンジェル・ハート」など注目作を扱い、今クールは人気脚本家・宮藤官九郎が手掛ける「ゆとりですがなにか」を放送している。

 同作品で宮藤と初タッグを組むのが枝見洋子プロデューサー。映画「桐島、部活やめるってよ」(12年)、日本テレビ「永遠のぼくらsea side blue」(15年)など話題作を手掛け、「永遠の―」では日本映像事業協会「ヤング映像クリエーターを励ます賞」で優秀賞を受賞。業界の未来を担う若手制作者だ。

 超売れっ子脚本家の作品に30歳の若手プロデューサーを抜てきした日本テレビ。枝見Pは起用された理由と経緯について「運が良かったのです」と謙そんしたが、「『永遠のぼくら』をつくったときに、冗談っぽく『若者を扱った作品を宮藤さんと(演出の)水田さんにお願いしたい』と周囲に話していました」と説明。「なに馬鹿なことを言ってるのと周囲に止められたのですが、偶然2人が一緒にドラマをつくることになり…。そこで『やってみるか?』と上司に声を掛けてもらった」と明かした。有望な若手の熱意を受け止めて、チャンスを与える。組織の“風通しの良さ”がうかがえる。

 今期は同局の連続ドラマ3作品すべてに女性プロデューサーが名を連ねる。女性視聴者の嗜好を読み取るために女性社員を重用する職場環境が整っているのではと仮説を立てて質問したが、枝見Pはやんわりと否定。性別よりも大切にしている“現場の哲学”を明かした。「女性だから男性だからということではなく、会社として『面白いことをやろう』という気持ちが強くあります。すごくシンプルな目標です。ドラマを見る視聴者は女性が多いからという理由だけで、女性プロデューサーを起用するということはないと思います。結果として女性目線でやってみたことが面白かった、ということはあるかもしれませんが、性別よりも面白さを追求する姿勢を大切にしています」。

 視聴者に面白い番組を届けるために――。シンプルな目標と、年齢も性別も関係ない風通しの良い組織づくりが“民放の雄”日本テレビの強さなのだ。

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2016年5月8日のニュース