“そこのみ”じゃない…綾野剛、賞を獲った自分と「ケンカですよ」

[ 2015年2月11日 05:30 ]

「そこのみにて光輝く」で男優主演賞を獲得、副賞として全日空から米ヒューストン行きビジネスクラス往復航空券が贈られ同社機の模型を手に喜ぶ綾野剛

 2014年(第69回)毎日映画コンクールの表彰式が10日、川崎市のミューザ川崎シンフォニーホールで行われた。「そこのみにて光輝く」で男優主演賞に輝いた綾野剛(33)は「これが代表作と言われ続けないようにしたい」とさらなるジャンプを宣言。

 徹底的な役作りで臨んだ「そこのみにて光輝く」での受賞。「素直にうれしい」と金縁メガネの奧の目を細めた。一方で「どこかで敗北感もある。このままだと、この作品に敗北する。敗北しないように戦っていく」と“自分超え”を誓った。

 口数の少ない、孤独な青年の心の内側を、丁寧かつ大胆に演じた。撮影中は毎日のように飲み歩き、目の充血やむくんだ顔を自ら作り出した。「とにかく生で勝負したかった」と撮影を振り返った。

 各映画賞の主演賞を獲得する受賞ラッシュが続く。「何も変わらないと思っていたけど、周りの評価が変わった。これからは“賞を獲った人”というイメージがついて回る。真摯(しんし)に応えていかなきゃいけない。自分との闘い、ケンカですよ」と、少し複雑な笑みを浮かべた。

 「おまえはその程度だ」と、自分自身を見下しながら役者を続けてきた。作品を見ても、自分のあら探ししかしない。常に不安を抱えていることに、安心感を覚えるという。それが、今回の受賞で少し変わった。「いつも自分を疑ってきたけど、自分のことを認めることも大事なんじゃないかと思った」と明かした。

 “静”で魅せた今作に対し、次回主演作「新宿スワン」(5月30日公開)は“動”で魅せる。新宿・歌舞伎町で派手に暴れる、金髪パーマのスカウトマンを演じる。「“そこのみ”の綾野剛を今年のうちに超えたい。自分を超えるためには、新しい作品を出し続けるしかない」。自分に満足しない、底知れない男だ。

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2015年2月11日のニュース