米倉斉加年さん 故郷福岡で急死…俳優、演出家、絵本作家でも活躍

[ 2014年8月28日 05:30 ]

米倉斉加年さん=2012年撮影

 舞台を中心に幅広く活躍した俳優、演出家で絵本作家としても知られた米倉斉加年(よねくら・まさかね)さんが26日午後9時33分、腹部大動脈瘤(りゅう)破裂のため福岡市内の病院で死去した。80歳。福岡市出身。葬儀・告別式は近親者で行う。喪主は妻テルミさん。後日、お別れの会を開く予定。映画監督の山田洋次氏(82)や女優吉永小百合(69)らがコメントを寄せ、突然の死を悼んだ。

 米倉さんは知人を訪ねるため、故郷の福岡市に滞在中だった。所属事務所によると、持病などはなく、26日夜に宿泊先のホテルで突然倒れた。関係者は「こちらも非常に驚いています」と話した。

 遺作は吉永の主演映画「ふしぎな岬の物語」(10月11日公開)。主人公が営むカフェの常連客で、心優しい医者の役を演じた。

 劇団民芸の演劇研究所や劇団青年芸術劇場などを経て、民芸で「ゴドーを待ちながら」などに出演。宇野重吉さんの相手役などを務め、00年に退団するまで、劇団の中心俳優、演出家として活躍した。

 舞台「放浪記」では、森光子さん演じる林芙美子の友人白坂五郎役を長年にわたり演じた。07年には劇団「海流座」を立ち上げ、代表を務めた。

 くせの強い悪役や存在感のある脇役など、重厚な演技で知られ、テレビではNHKの大河ドラマ「三姉妹」「勝海舟」「花神」などに出演。07年に放送されたNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」ではヒロインの祖父役を演じた。

 出演映画は「動乱」など。山田監督の「男はつらいよ」シリーズには6度にわたって登場し、柴又の警察官や寅さんの恋敵役などさまざまな役柄を演じた。このほか、山田作品では、今年のベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品された「小さいおうち」にも出演した。

 絵本作家としても活躍し、「魔法おしえます」「多毛留」でイタリアのボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞を2年連続で受賞した。

 米倉 斉加年(よねくら・まさかね)1934年(昭9)7月10日、福岡県生まれ。舞台は「リア王」「大司教の天井」「オットーと呼ばれる日本人」など代表作多数。映画は「真田風雲録」「パッチギ!」など。

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