「風立ちぬ」完成 宮崎駿監督「自分の映画で初めて泣いた」

[ 2013年6月25日 06:00 ]

「風立ちぬ」完成報告会見を行う(左から)庵野秀明、宮崎駿監督、松任谷由実

 宮崎駿監督(72)が24日、東京都小金井市のスタジオジブリで最新アニメ映画「風立ちぬ」(7月20日公開)の完成報告記者会見を行った。主演声優で人気アニメ「ヱヴァンゲリヲン」シリーズ総監督の庵野秀明氏(53)、主題歌を担当する松任谷由実(59)ら豪華な顔ぶれがそろい踏み。宮崎監督は「自分の映画で初めて泣いた。みっともない」と明かした。

 「崖の上のポニョ」(08年)以来5年ぶりの監督作。日本アニメを象徴する巨匠・宮崎監督が「自分の作品を見て泣くのは初めて。みっともない監督です。恥ずかしい」とテレまくった。試写会で、その様子を見た庵野氏は「あれは号泣。宮さんの号泣は初めて見た。感極まったんでしょうね」と驚きを隠さなかった。

 主演声優の庵野氏も「ヱヴァ」シリーズなど日本アニメを代表する監督。宮崎監督の「風の谷のナウシカ」(84年)にスタッフで参加して以来の師弟関係にあるため、異例の声優オファーを快諾した。松任谷は73年発表の「ひこうき雲」を主題歌に提供。ジブリ作品の主題歌は「魔女の宅急便」(89年)以来で24年ぶり。宮崎監督は「長い間の積み重ねがあって完成した作品だから、泣いちゃったのかな」と自己分析した。

 作品の舞台は大正から昭和の日本。実在の零戦設計技師・堀越二郎氏の生涯をベースに、堀辰雄の小説「風立ちぬ」の恋愛物語がミックスされている。宮崎監督はリーマンショックや震災後の日本で、ファンタジー作品の存在意義を自問したという。戦争もテーマで、これまでの作風を一変する異色作に「どういう作品になるか見当もつかなかった」と苦悩も深かったが「堀越さんのご子息らも喜んでくれてホッとした」と満足感を漂わせた。

 庵野氏は弟子らしく遠慮のない表現で「72歳でこの映画を作るのは凄い。地に足が着いた。ちょっと大人になりましたね」と作品を絶賛。松任谷も「荒井由実が亡霊のように現れた。参加できて本当に良かった。監督の魂が強くこもった作品。日本人1人残らず見てほしい」とPR。宮崎監督は「(「ポニョ」から)5年ぶりでなく、5年かかった作品」と胸を張った。

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2013年6月25日のニュース