名脇役・夏八木勲さん死去「野生の証明」「戦国自衛隊」

[ 2013年5月13日 06:00 ]

昨年公開された映画「希望の国」での夏八木勲さん(C)2012 The Land of Hope Film Partners

 「野性の証明」「戦国自衛隊」など数多くの映画やドラマの名脇役として活躍した俳優の夏八木勲(なつやぎ・いさお)さんが11日午後3時22分、膵臓(すいぞう)がんのため神奈川県鎌倉市の自宅で死去した。73歳。東京都出身。葬儀・告別式は家族のみの密葬で行う。昨年11月に膵臓がんが見つかったが、手術は受けていなかった。闘病を公にすることなく、入退院を繰り返しながら仕事を続けていた。

 苦しい闘病生活の中でも、仕事への情熱を燃やし続けた夏八木さん。関係者によると、2日前から体調が急に悪化。腹部の強い痛みを訴えたが、入院はしなかったという。亡くなる直前まで意識はあったそうで、妻まり子さんと娘に見守られる中、眠るように息を引き取った。

 最後の公の場は、今年3月24日に群馬県高崎市で開かれた高崎映画祭の授賞式。原発事故を題材にした昨年公開の主演映画「希望の国」で最優秀主演男優に選ばれ、うれしそうな笑顔を見せていた。今月2日、都内で行われた日本映画批評家大賞の授賞式は「ゴールデン・グローリー賞」を受賞していたが、風邪を理由に欠席。まり子さんが代理で出席した。

 慶応大中退後、俳優座養成所に入所。66年、映画「骨までしゃぶる」でデビューした。74年、NHK連続テレビ小説「鳩子の海」で注目を集め、映画「野性の証明」「戦国自衛隊」など、野性味あふれる豪快な演技で名脇役として活躍した。

 「希望の国」での演技は高い評価を受け、第67回毎日映画コンクールの男優主演賞を受賞。今年2月に川崎市で行われた表彰式では「名誉なことです。励みになります」と感激していた。同作では芸術選奨文部科学大臣賞にも選ばれた。

 ◆夏八木 勲(なつやぎ・いさお)本名同じ。1939年(昭14)12月25日、東京都生まれ。慶大文学部在学中の60年に文学座付属演劇研究所入所。その後、慶大を中退し、63年に俳優座養成所に入所。出演作は映画「白昼の死角」「復活の日」、NHK大河ドラマ「花神」「龍馬伝」など映画、ドラマ合わせて300本以上に上った。

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