LGツインズ金眞秀は日本育ちの右腕 雌伏の時を経て、ローテ入り狙う

[ 2024年4月16日 21:16 ]

 LGツインズの金眞秀投手(ストライク・ゾーン提供)

 【室井昌也 月に2回は韓情移入】小学校の元同級生がプロ野球選手になっていたら、自慢したくなるに違いない。旧友たちは彼が韓国のプロでプレーしていることを知っているだろうか。

 LGツインズの投手、金眞秀(キム・ジンス)は1998年生まれの25歳。山梨県甲府市で暮らす韓国人家族の長男として生まれた。

 「父の仕事の関係で日本に住んでいました。(甲府市立)伊勢小学校1年生の時に4つ上の姉に勧められて野球チームを見学したら面白くて、伊勢スポーツ少年団に入りました。ピッチャーを始めたのは4年生の時。6年生で“(背番号)1番”をつけました」と金はうれしそうに振り返る。

 伊勢スポーツ少年団は強豪チームとして地域大会に優勝。関東大会に出場し、金は優秀選手賞を手にしたという。

 「中学でもシニアで野球をしたいとも思いましたが、いつか韓国で暮らすなら早いうちに慣れた方がいいということで、小学校を卒業して母と2人で帰国。その後に姉も日本を離れました」

 金は韓国でも野球を続け群山商高、中央大と進み、21年新人ドラフトでLGに2ラウンド目で指名されプロ野球選手になった。

 「日本で野球を始めたので基本がしっかり身についたのが、今となってはプラスになったと思います」

 即戦力の大卒右腕として期待された金は1年目の4月にリリーフとして3試合に登板。結果は悪くなかったが、右肘痛のため7月の2軍での登板を最後に手術。そして韓国の成人男子の義務である兵役服務のため、昨年5月まで陸軍第9歩兵師団に1年半所属した。

 チームに戻った金の昨季の登板は2軍での1試合のみ。今年が本格的な復帰となる勝負の年だ。金は2軍リーグ開幕直後、4月2日のSSGランダーズ戦に先発登板した。「手術、入隊と2年10カ月間上がれなかったマウンドにようやく立てて、期待と心配が入り交じりました」。金はその試合で5回4安打無失点と好投。勝利投手になった。

 「初球にストライクが取れてストライクの割合も多く、肘も痛まず強くボールを叩けたことが良かったです」

 金は14日に今季2度目の登板となる先発機会を得た。SSGに対して6回2/3を4安打1失点。勝ちはつかなかったが、得意のカーブを生かして2試合続けて好投した。

 かつて中日で研修コーチを務めたことがあるLGの徐溶彬(ソ・ヨンビン)2軍監督は金について、「直球をもっと投げていって、球威が上がってくれれば」と期待を込める。

 金は甲府での生活について「毎日楽しかったですし、チームの卒団式のことをよく覚えています」と話す。「友達との連絡は途絶えてしまいました。クボタ監督は僕がプロ野球選手になったことを知らないと思います。しばらく日本に行っていないのでみんなに会いたいです」。

 日本を離れてから13年。インタビューは韓国語で行ったが金は今でも日本語がペラペラだ。甲府のみなさん、眞秀くん頑張っていますよ。

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