神村学園 劇的サヨナラ夏切符 延長10回タイブレーク、岩下3ラン「今までにないぐらい最高だった」

[ 2023年7月24日 04:30 ]

第105回全国高校野球選手権鹿児島大会決勝   神村学園8―5鹿屋中央 ( 2023年7月23日    平和リース )

<神村学園・鹿屋中央>サヨナラ3ランの岩下(14)を笑顔で出迎える神村学園ナイン
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 鹿児島大会は決勝が行われ、神村学園が鹿屋中央に8―5でサヨナラ勝ちし、4年ぶり6度目の夏の甲子園。延長10回タイブレークに同点に追いつくと、1死一、二塁から5番の岩下吏玖(りく、2年)が右越えに優勝決定3ランを放つ劇的な決着だった。

 真っ赤に染まった神村学園スタンドの歓声は、しばらく鳴り止まなかった。1点を追う延長10回タイブレーク。4番の正林の右前適時打で同点に追いくと、ここまで無安打だった5番の岩下が直球をコンパクトに振り抜いて右越えにサヨナラ3ラン。公式戦では高校通算2本目に「自分がだめでも後ろがいる。気持ちは楽だった。今までにないぐらい最高だった」と喜びが爆発。チームメートからもみくちゃにされた。
 岩下は小田大介監督から過去に甲子園に出たチームは、2年が中軸に名を連ねたり、エースとして活躍したと聞いていた。「甲子園に行くには2年の力が必要だ」という言葉ももらった。スタメンでは同じく2年で4番の正林が3安打1打点、6番の上川床勇希も2安打した。岩下は「そういう意識はありました」と胸を張った。

 3年生も負けていない。主将の今岡歩夢(3年)は「自分らも絶対に2年生に対して甲子園に連れて行くという気持ちだった」と明かす。「お互いを思う気持ちが甲子園につながった」と誇った。

 昨年は春の九州大会に優勝してV候補筆頭の夏だったが、1回戦で鹿児島実に敗戦。今岡歩主将は「技術があっても勝てない」と痛感。逆境に立たされると反発できない気持ちの弱さかを見つめ直した。今年のスローガンは「気愛(きあい)」。自分のためではなく、誰かのために一生懸命やることが、自分に返ってくるとの思いが込められた。つなぎの意識や団結力を大事にした。「勝って泣きたい」との思い通り男泣きした小田監督は「立派すぎるぐらいの結果。頼もしく思うし、本当に良く頑張ってくれた」と目を細めた。

 「相手に勝つことを見据えるのではなく、自分たちの野球をして自然と勝てれば」と岩下。団結力強い神村学園がまずは4年ぶりの1勝をつかみに行く。(杉浦 友樹)

 ◇岩下 吏玖(いわした・りく)2006年(平18)12月23日生まれ、鹿児島県鹿児島市出身の16歳。小3からビスタベースボールクラブで野球を始める。中学は串木野ドリームズに在籍。神村学園では2年春からベンチ入り。好きなプロ野球選手は今宮健太(ソフトバンク)。1メートル71、71キロ。右投げ左打ち。

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