ソフトB・奥村、復活ロード歩む 3、4軍の非公式戦8試合で防御率0・35

[ 2023年5月30日 07:10 ]

好投を続けているソフトバンク・奥村
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 毎週火曜日にソフトバンクのファーム情報をお届けする「筑後鷹」の第30回は奥村政稔投手(30)。右肘を痛めた影響でプロ5年目の今季から育成契約になったが完全に回復し、3、4軍の非公式戦で8試合に登板して防御率0・35と猛アピールしている。「ライバル」と語る森唯斗投手(31)の影響を受けている右腕の復調は近い。

 30歳の遅咲き右腕、奥村が復活ロードを歩んでいる。昨年秋に右肘を手術して以降、20日の独立リーグ徳島との交流戦で最長の5イニングを投げ1失点と好投。「やっと思うように投げられるようになった」と手応えを語り、右肘も「全然問題がない」と力強い言葉が返ってきた。

 社会人の三菱日立パワーシステムズから26歳でプロ入り。昨年は8月に1軍に昇格し、プロ初先発。9月には本拠地ペイペイドームで行われた西武戦で先発し、3回1安打無失点の好投で初めてお立ち台に。「ありがとうございま~す」と帽子を振って歓声に応える明るい姿を覚えているファンも多いはずだ。

 右肘の手術で今季から育成契約になり、2月の春季キャンプはリハビリ組で過ごした。大きな声を出し、年齢が離れた若手選手の背中を押している姿が印象的だった。「言った方が自分もちゃんとやろうとなる。尻を叩きながら自分の尻も叩いてやるということ」と語る。奥村とは同学年の勝永将史ストレングス&コンディショニングコーチは「正直たぶんやりにくいところはあったと思うんですけど、率先してやってくれた。一番声を出して森(唯斗)さんと一緒にやってくれたので。前向きに取り組んでいたところが凄いと思いました」と語った。

 森の存在は大きいという。1学年上だが同じ92年生まれで、同学年のように絡んでくれるという。「年も近いし、ライバルというか学ぶところもあるけど、自分は負けたくない気持ちの方が強いです」と力を込める。取材風景を偶然見た森からは“ライバル”という言葉に「肩並んでないっす」と愛のあるツッコミを受けてしまったが、その姿勢に学ぶところがある。「いろんな選手に声をかけたりしている。育成の一回り下の子を食事に連れて行ったり。うれしいし、頑張ると思う。大事じゃないかなと思いますね」と話した。

 つかの間の息抜きはベストスコア73というプロ顔負けの腕前を持つゴルフのクラブを磨いたり、集めたりすること。「けっこう楽しいです」とオンオフを大事にしている。今季中に支配下登録されることが目標だが、奥村の視線はその先にある。「そこで燃え尽きたら意味がないじゃないですか。1軍で先発する。(背番号は)3ケタですけど、育成ですけど、その準備をしておくということだけですね」と誓った。また必ず満員のペイペイドームで熱いホークスファンの歓声を浴びる。 (杉浦 友樹)

 ◇奥村 政稔(おくむら・まさと)1992年(平4)8月14日生まれ、大分県出身の30歳。中津商では甲子園出場なし。九国大は2年で中退。三菱重工長崎から会社統合で三菱日立パワーシステムズへ。17年の都市対抗では1回戦、準々決勝で白星を挙げ4強入りした。18年ドラフト7位でソフトバンクに入団。1軍での通算成績は21試合に登板して0勝1敗、3ホールド。防御率4・73。背番号は126。1メートル75、77キロ。右投げ右打ち。

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