広島・マクブルーム満塁弾 「前の打者が歩かされると、いつも以上のモチベーションになる」

[ 2023年5月15日 06:30 ]

セ・リーグ   広島10―3巨人 ( 2023年5月14日    東京D )

<巨・広>7回、満塁弾のマクブルーム(右奥)はナインと喜び合う(撮影・西川祐介)
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 広島は14日、巨人に7―2で快勝し、2カード連続で勝ち越しを決めた。1点優勢の7回にライアン・マクブルーム内野手(31)が左翼最前列へ試合を決める3号満塁弾。ドリュー・アンダーソン投手(29)は7回を1安打零封し、2勝目を挙げた。2週間の遠征を5勝1敗で折り返し、新井監督は「ひとえに、みんなの頑張り」と称えた。

 悩める主砲がようやく“らしさ”を発揮した。昨年5月20日の中日戦以来となる、来日2本目のグランドスラム。カード勝ち越しに貢献し、マクブルームは破顔一笑だった。

 「ジャイアンツのような素晴らしいチーム相手に、自分の本塁打で勝ちを持ってこられるなんて興奮する。最高の結果になった」

 1点優勢の7回2死満塁。カウント1―2からの4球目、赤星が投じた真ん中低めのチェンジアップを振り抜くと、打球は真っ赤なファンで埋まる左翼最前列に着弾した。10試合ぶりの一発は3号満塁弾。会心だった。

 伏線はあった。3番・秋山のカウントが2ボールになった時点で巨人ベンチは申告敬遠し、マクブルームとの勝負を選択。「前の打者が歩かされると、いつも以上のモチベーションになる」。たぎる思いをバットに乗せ、ひと振りに込めた。

 意地もあった。開幕から全試合4番に座りながら、2割台前半の低空飛行。前日13日の試合では、1点を追う9回1死三塁で代打・松山を送られていた。屈辱的なシーン。マクブルームは、しかし、真顔で首を横に振る。

 「悔しさ?それはない。勝利のために代打が送られたと思うので、監督の選択は正しい。信頼しているし、信じてやるだけ」

 新井監督は、助っ人の性格や考え方、取り組む姿勢をつぶさに把握する。「悔しさは間違いなくあったと思うけど、彼はフォア・ザ・チームの精神を持っている。あえて声をかけていないし、理解してくれていると思う」と強調し、「大きなホームラン。うまく拾ったよね」と称えた。

 低調でも「4番を外そうと思ったことは一度もない」という指揮官。マクブルームもまた「監督はそれ(代打の説明)をする必要もない」と言った。厚い信頼関係に基づく以心伝心。G倒に導く一発を契機に、主砲は復調のノロシを上げる。(江尾 卓也)

 ○…母の日にかけた3号満塁アーチは、感謝の思いを込めた一発でもあった。毎年、妹と一緒に米国に住む母親に花を贈り、今年も既に贈ったというマクブルーム。「母には“いつもハッピーでいなさい”と言われている。日本でプレーし、幸せな人生を送っていることを彼女は知っている」。自身がハッピーでいるために、チームの勝利への貢献を改めて誓っていた。 

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