DeNA 超短時間攻撃は未来につながる「大きな一歩」

[ 2023年3月24日 08:00 ]

阪神とのオープン戦で初球を打ったDeNA・上甲
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 1分29秒。これは、14日の阪神とのオープン戦(横浜)で、DeNAが6回の攻撃に要した時間だ。桑原が中飛、森が一邪飛、育成の上甲が三邪飛。阪神・石井にそれぞれ初球、わずか3球で打ち取られた。

 なかなかお目にかかれない超短時間攻撃。だがこの攻撃、実はチームの未来につながる「大きな一歩」を示した攻撃でもあった。

 2アウト後に打席に入った育成ドラフト1位の上甲は1軍に「ゲーム参加」中の2軍選手。結果を残そうと表情は硬かった。そのとき声をかけたのが石井チーフ打撃コーチだ。「攻撃が3球で終わってもいい。打てる球なら初球からいけ」。

 打った球は146キロ内角直球の「ファーストストライク」。恐れず果敢に振った。結果は凡打。それでも、2打者連続初球打ち損じにビビらず攻めた気概に、同コーチもニンマリだ。石井コーチは、早出練習を中心に打撃投手を務めることが多い。ナインには「打撃練習でも初球に対する集中力を高めろ」と指示を出す。

 昨季DeNAのチーム打率は・251。そして、カウント別では0―0は・306。0ストライクは・313。1ストライクは・323。そして2ストライクは・184。データは決め球勝負に対し結果を出す難しさを示している。だから、初球攻撃の上甲も「打ち急ぎ」とは言えない。

 ちなみに翌15日の9回2死から代打で登場した2年目の粟飯原は、阪神・ケラーに対しスリーボールから152キロの直球を強振で空振りした。石井コーチは粟飯原にも「凄い。俺は現役時代1度もノースリーから振ることができなかった」と称えた。通算2432安打の猛者も、粟飯原の仕掛けには◎だった。

 たかがオープン戦、されどオープン戦。結果が必要な若手にとって、打ち損じは致命傷。だがそれも状況による。上甲と粟飯原は「青信号」の状況で積極性を示した。それは石井コーチに響いた。

 DeNAは伝統的に打力が武器のチーム。彼らの「トライ」は、その伝統を未来につなぐ一員となるための大きな一歩だととらえている。
(記者コラム・大木穂高)

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2023年3月24日のニュース