アスレチックス・藤浪 “大リーグボール”でメジャーの星になる お股ニキ氏から秘球2種類伝授

[ 2023年1月31日 02:30 ]

ブルペンで投球する藤浪(右)を見る阪神・渡辺雄(撮影・平嶋 理子)
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 阪神からポスティングシステムを利用してアスレチックスに入団した藤浪晋太郎投手(28)が、メジャーリーガー斬りへ“秘球”を準備していることが分かった。昨年末、かねて親交がありプロウト(プロの素人)としてSNSでも鋭い分析を行っているお股ニキ氏と都内で“合同自主トレ”を敢行。メジャーのトレンドや打者の特徴もインプットする同氏から、とっておきの新球を授かった。

 秘密兵器を携えて藤浪が海を渡る。昨年末、関東を拠点に汗を流していた右腕が人知れず足を運んだのは都内某所。待っていたのが、お股ニキ氏だ。

 「メジャーリーグでのピッチングデザインを学びたいんです」

 直々のお願いだった。ダルビッシュ(パドレス)や千賀(メッツ)とも面識があり助言も行ってきた同氏とは、藤浪も数年前から連絡を取り合う仲。20年のシーズン中には質の高さに注目したスプリットの割合を増やすようアドバイスもされている。今回、メジャー挑戦にあたり、米国球界の最新トレンドや打者にはどんな配球が効果的なのかをアップデートするべく、藤浪自らの申し出で“合同自主トレ”が実現した。

 「この時期に、藤浪投手がわざわざ自分から来たいと言ってくれて。その心意気に私もすべてをぶつけました」(お股ニキ氏)

 座学2時間、実技1時間で、持ち合わせる情報や知識を教示した。その中で注力したのが“新球”の習得。同氏が「メジャーで効果的となっている2球種を追加しました」と明かしたように、藤浪の持ち球になかった2球種を新たにメジャー用として伝授したという。

 その場で投球練習も行って試投。「(過去に)能見さんも記事でおっしゃっていましたが、変化球は上手に投げられる。いい意味で気楽にアバウトに投げられれば大丈夫。新球種は実際の試合でのお楽しみで…。かなり凄い球ですよ」と太鼓判を押した。すべてはオークランドの背番号11の躍動を願うからこそ。マンツーマンセッションを終えたお股ニキ氏は「昨年8月以降の良い状態を維持できていました。メジャーで、伸び伸び本来の投球をすれば先発でも活躍できると思います」と期待を込めた。

 メジャー挑戦を控えた藤浪にとっては、大舞台のマウンドで結果になって返ってくるかもしれない貴重な時間になった。「秘密も多いので多くは語れませんが、ここを変えるだけでこんな変化があるのかとさまざまな発見と驚きがありました。向こう(メジャー)で実践できるようにしたいです!」。強敵をなぎ倒す武器は何個あっても良い。(遠藤 礼)

 ◇お股ニキ(@omatacom=おまたにき)本名、生年月日、出身地は非公表。「ニキ」はネット用語で「兄貴」の意味。本格的な野球経験は中学の部活動まで。15年にダルビッシュ(当時レンジャーズ)に関してつづったツイートが偶然、本人の目に留まったのをきっかけに親交がスタート。ツーシームを助言するなど「プロウト」としての道が開けた。

《米球界で話題「スイーパー」》
 お股ニキ氏はかねて、スプリットの中でも、スライダーにも見える軌道で落ちるものを「最強スプリット」と称し、メジャーでも威力を発揮していると紹介。21年以降のエンゼルス・大谷の投球でも、この軌道が多く見られる。また、昨季は米球界で「スイーパー」と呼ばれる新球種が話題に。スライダーより曲がり幅が数センチ大きく、スライダーとカーブの中間にあたる「スラーブ」をアップグレードしたような球種で、大谷やダルビッシュも使い手とされている。

《昨季はフォークを有効活用》
 Japan Baseball Data「翼」によると、藤浪は昨季の公式戦で4種類の変化球を投じていた。全1101球のうち、全体の4分の1にあたる26%がフォーク(スプリット)の290球。従来のスタイルだった勝負球としてだけでなく、カウント球としても有効活用した。2番目に多かったのは、スライダー(カットボール)で20%。カーブとツーシームも投じたが、2球種を合わせてもわずか3%だった。

《メジャー球適応へ手応え》
 この日の藤浪は鳴尾浜球場でブルペンに入り、メジャー球で約50球を投じた。「調整はいいイメージで来ている」と手応え。阪神が31日にキャンプ地・沖縄入りするため、鳴尾浜での練習もこれが最後となるはずだったが「渡米直前まで使っていいと」と古巣の配慮に感謝をした。キャンプに出発する左腕・高橋らとも「長く一緒にやらせてもらったので」と互いに激励し、いい形での再会を誓っていた。

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