ソフトB・小久保2軍監督 「限界を押し上げろ」春季Cまで1カ月、新時代の若鷹ヒーロー求む

[ 2023年1月3日 05:00 ]

色紙に「限界を押し上げろ」と記し若鷹へゲキを飛ばす小久保2軍監督(撮影・岡田 丈靖)
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 若鷹よ、限界を超えていけ――。ソフトバンクの小久保裕紀2軍監督(51)が本紙の単独インタビューに応じ、今季のテーマに「限界を押し上げろ」と色紙に記した。球界初の4軍が開設され、競争激化する1軍への道。若手の限界突破を促し、ファームの底上げを狙う。また、長所と短所を一次関数に例えた“小久保流”の育成方程式についても語った。

 ――あけましておめでどうございます。年末年始はゆっくり過ごされましたか。

 「福岡で家族とゆっくりしました。西新の紅葉八幡宮で初詣に行って、決意と感謝を述べてきました」

 ――色紙には“限界を押し上げろ”と記した。

 「オフは(当時の)王監督が言ったように敵と戦う時間は短い。12、1月に己との戦いを制したものが上にいけると伝えている」

 ――自身も現役時代は自主トレで徹底的に体を追い込んだ。

 「1月の自主トレで限界を押し上げて、2月は鼻歌を歌いながらやれるくらいで入ってこいと工藤さんや秋山さんに教わった。トップ選手がこれだけやっているのに、ファームの選手がやらないと差は縮まらない」

 ――限界突破したものが生き残る。

 「大好きな野球は一生できるわけじゃない。ましてや体力強化は25歳くらいまでしかできない。期間が短いことに気づいて、抜け出す選手が出てくればファームの底上げにもつながるし、レギュラーを脅かす選手が増えて組織の強化になる」

 ――2軍監督として1年を振り返って。

 「コロナもあって、多くの選手が1軍を経験できた。藤本監督が旬の時に使ってくれたので、スタメンの準備や心構え含めて選手が力を発揮しやすい環境を整えてくれた。1軍でできる自信をつけて帰ってきたことが良かった」

 ――野村大、渡辺陸、増田の活躍は。

 「やっぱりうれしいですよね。ファームの選手が本当のプロの味を知る世界で結果を残す。報告が来た時はこういう思いになるんだと。2軍監督になって初めての感覚なので、大事にしたい」

 ――昨季、一番成長した選手は。

 「(甲斐)拓也という日本代表の捕手がいながら、渡辺陸がそこに割って入ったことは素晴らしい。北九州(※注)で試合を壊してしまう怖さを感じたと思うし、指が動かなかったと言っていた。これは城島さん、阿部慎之助さんでも通った道。いい経験じゃないかな。2月は拓也を脅かしてやるくらいの気持ちで入ってきてほしい」

 ――今季からは球界初の4軍制が始まる。

 「まずは2軍の公式戦を目標にする選手が増える。3、4軍監督の推薦があった時はうまく2軍に引き上げて、いいタイミングで使ってあげる。2軍と藤本監督の連携のような、2、3軍バージョンが必要になる」

 ――2軍監督2年目のテーマは。

 「真逆の指導をして選手を迷わせないこと。例えば上からバットを出す練習をしている選手に下から出せとかは言わない」

 ――コーチ陣も入れ替わった。連携で大切にすることは。

 「選手の長所を触ってはいけない。y=ax+bの一次関数の話をした。分かりやすく言うと、長所(定数)と短所(変数)です。仲田の定数はグラブの角度。全て芯でパチッと捕れる天性のものがある。この角度について、(コーチは)絶対に触ってはいけない。リチャードの定数はゆったりしたタイミングの取り方。でも本人は日替わりでフォームを変えている。そのときに“なんで定数をいじっているの”と言えるコーチにならないといけない。選手とコーチ全員で、変数を探していきます」

(※注)22年7月20日の楽天戦で大関と組み、先発マスクをかぶった渡辺陸だが、2回8失点。大関とともに途中交代し、チームは、17失点で大敗した。

 ◇小久保 裕紀(こくぼ・ひろき)1971年(昭46)10月8日生まれ、和歌山県出身の51歳。星林から青学大に進み、93年ドラフト2位(逆指名)でダイエーに入団。04~06年巨人。07年ソフトバンクに復帰。12年に現役引退。通算2041安打、413本塁打。13年10月に日本代表(侍ジャパン)監督に就任し17年WBCで4強。21年からソフトバンクのヘッドコーチに就任し、22年からは2軍監督。1メートル81、86キロ。右投げ右打ち。

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