日本ハム・大海の今季目標は沢村賞 新球場でダルビッシュ&大谷のようなチームの「顔」になる

[ 2023年1月3日 08:50 ]

ダルビッシュ、大谷の巨大壁画をバックにポーズを決める伊藤(撮影・高橋茂夫)
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 日本ハム・伊藤大海投手(25)が本紙の新春単独インタビューに応じた。プロ2年目の昨季は球団では西崎幸広以来34年ぶりの入団から2年連続2桁勝利(10勝)。3年目の今季は新球場「エスコンフィールド北海道」の顔となるべく、沢村賞受賞を目標に掲げた。また、3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では侍ジャパン入りを狙う。(聞き手・東尾 洋樹)

 ――新年おめでとうございます。新球場を訪れた感想は。

 「芝が入ってから初めて行ったけど、全然雰囲気が変わっていた。(マウンドに立つ)イメージがまだ湧かないから独特なのかな」

 ――ロッカールームは。

 「日本っぽくない異空間な感じ。毎日あそこに行けると思うとテンションが上がる」

 ――左翼のランドマーク「タワー11」には、かつて背番号11を背負った歴代エースのダルビッシュ、大谷の壁画がある。

 「凄いですよね。憧れてきた選手。北海道出身で新球場のスタートに携われるというのは運命的なものもあるし、それだけの責務もある。強いファイターズを取り戻すためにやっていきたい」

 ――エースの系譜を受け継ぎたいか。

 「もちろん。そこは強く思っている」

 ――マウンドでの存在感が信頼感につながる。

 「(2人は)圧倒的だったと思うし、満場一致のエースだと思う。そういう選手に、時間がかかってでもなりたい」

 ――中でも尊敬するダルビッシュの凄いところは。

 「オーラというか、支配感というか。その場を完全に支配する絶対的な存在感。あれは、まねしようとしてまねできるものではない。積み上げたものもそうだし、周りがそうさせるものだと思う」

 ――今年は特別な年。色紙には沢村賞と書いた。

 「スタートは凄くインパクトが残ると思う。そこで何か残したいなっていうのはある」

 ――上沢が今季終了後のメジャー挑戦希望を表明した。投手陣の中心としてやっていく気持ちは。

 「今年はまだ上沢さんがいるけど、上沢さんが安心して“任せたぞ”って言ってもらえるような投手になれたらいいと思うし、ならなきゃいけない」

 ――加藤、上沢がいて、次の世代に伊藤がいる。

 「加藤さんは多分40歳を越えても投げていると思うけど(笑い)、何とかあの2人に負けじとついていけるようにやっていきたい」

 ――3月にはWBCが開催される。昨年はサッカーW杯で日本が盛り上がった。

 「あれだけ魂を込めてやっている姿を見たら感じるものはあった」

 ――21年は侍ジャパンの一員として東京五輪金メダル獲得に貢献。日の丸を背負って戦う重みや難しさは。

 「シーズン中とは違う緊張感があったし、注目度も違う。国を背負って戦う、そのメンバーに携われるのは凄いこと。選ばれれば自分のやるべきことを全うしたい」

 ――WBCは米国代表などメジャーのトップクラスが参戦する。
 「本当に豪華なメンバー。どこも本当に負けられないという気持ちで大会に挑んでくると思う」

 ――起用法も決まっていない中での仮定の話だが、ダルビッシュ―伊藤―大谷の夢のリレーが実現すれば、日本ハムファンは喜ぶ。

 「(選手兼ファンクラブ会員の)今川さんは鼻血出しちゃうんじゃないですか(笑い)。そういう可能性もなくはないと思うけど、もうアピールの場がないので、あとは(選出を)待つだけ」
 ――過去のWBCで印象的な場面は。

 「(09年決勝・韓国戦での)イチローさんのセンター前のタイムリーは凄く覚えている。学校が終わって家まで帰っていたらイニングが終わるくらいだったので、(家族に)車を停めてもらって車のテレビで見ていた。本当に熱中していた」

 ――恩師の栗山監督が指揮を執る。

 「(21年の)1年間、一緒にやってきたのですぐに対応できると思う。(優勝して)胴上げしたい」


 【取材後記】伊藤にはブレない信念がある。新庄監督から守護神への配置転換を提案されても、先発希望を直接伝え、メディアを通じても周囲に先発希望があることを伝えてきた。理由を問うと「1度きりの野球人生。後悔はしたくないので」ときっぱり口にした。

 その姿勢は今も昔も変わらない。球団史上初の道産子ドラフト1位として日本ハム入りし、入団から2年連続2桁勝利を達成した次世代のエース候補。妥協せず、自身の意思を貫き通してきたからこそ、今の立場がある。「嫌われようが僕は全く問題ない。言うからにはそれだけの結果も求められるし、自分にプレッシャーをかける意味でもいいのかなと思う」。その姿は自分の信じる道を愚直に進んできたダルビッシュ、大谷と重なる。

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