【甲子園】「カードゲーム事件」紹介の人気解説者退任 大矢正成氏「夢のような時間でした」

[ 2022年8月22日 17:19 ]

第104回全国高校野球選手権大会・決勝   仙台育英8-1下関国際 ( 2022年8月22日    甲子園 )

<仙台育英・下関国際>甲子園大会最後の解説となった大矢正成さん(撮影・藤山 由理)
Photo By スポニチ

 NHKの高校野球解説を務めてきた元JR東海監督の大矢正成氏(63)が22日、第104回全国高校野球選手権大会決勝の仙台育英(宮城)―下関国際(山口)戦で、甲子園大会では最後となる解説を担当した。

 同氏は東邦(愛知)時代、1977年夏の甲子園大会で準優勝を経験。「バンビ」の愛称で人気となった投手・坂本佳一さんとバッテリーを組んだ。法大に進み、JR東海では監督も務めた。甲子園大会の解説は13年から担当。豊富な経験に裏打ちされた分析力と、冷静でソフトな語り口で人気を博してきた。

 その名が一気に広がったのが「カードゲーム事件」だ。昨年選抜大会、明豊(大分)―中京大中京(愛知)で明豊に関する、あるエピソードを紹介したところ、試合中に「明豊」がツイッターでトレンド入り。中でも「カードゲーム事件」というワードが急上昇した。

 大矢氏が明豊・川崎絢平監督の人柄を表すエピソードを紹介。「2019年にセンバツでベスト4入りした前年、カードゲーム事件というのがあったそうで」と切り出し「主力選手4人が(規則を破って)夜にカードゲームをやっとったんですよ。それで監督は翌朝“カードを持って来い”と。選手はカードが没収になるかと思ったら“マウンド上で好きなだけゲームをやれ”と言ったそうで。それを選手に見せて、ルールを破ることが組織に悪影響を及ぼすんだと、どれだけ迷惑をかけるかと示した。それからベスト4になり、日本一を目指すところまで来たということなんですね」と話した。解説だけでなく、卓越した取材力が話題となった。

 今月18日の仙台育英-愛工大名電(愛知)で解説を担当。試合後に放送内で、実況アナが退任を明らかにした。大矢氏は決勝戦後「毎試合、解説するとき野球小僧の気持ちで臨んでいました。嬉しくて仕方ない、夢のような時間でした」と話し「社会に出ると思い通りいかないこと、辛いことがたくさんあります。高校野球で学んだこと、野球を通して鍛えられた強い心があればきっと乗り越えられると思います」とエール。「球児の皆さんには野球のおかげで今後の幸せな人生を歩んで欲しいなと思います」と万感の思いで、全国の球児に呼びかけた。

続きを表示

2022年8月22日のニュース