勢い止まらぬ下関国際、山口県勢64年ぶりVかけ決勝へ! 好救援・仲井「気を引き締め戦いたい」

[ 2022年8月21日 04:04 ]

第104回全国高校野球選手権第13日・準決勝   下関国際8―2近江 ( 2022年8月20日    甲子園 )

<近江・下関国際>9回、最後の打者を打ち取りガッツポーズと雄叫びを上げる下関国際・仲井(撮影・藤山 由理)
Photo By スポニチ

 下関国際(山口)が春夏通じて初の決勝に駒を進めた。準々決勝で春夏連覇を狙った大阪桐蔭に勝った勢いは止まらず、選抜準優勝の近江(滋賀)に快勝した。仲井慎(3年)が8回2失点の好救援を見せた。選抜V校&準V校を同年夏の甲子園で撃破したのは、83年のPL学園以来。山口県勢は1985年の宇部商以来の決勝進出だ。1958年の柳井以来、県勢64年ぶりの優勝をかけて、22日の決勝で東北勢初優勝を狙う仙台育英(宮城)と激突する。

 準々決勝で春の王者、大阪桐蔭を逆転で破った下関国際の進撃が止まらない。準決勝で近江に快勝。選抜V校と準V校を夏に両方撃破したのは83年のPL学園以来、史上2度目の快挙だ。8回2失点8奪三振の好救援だった仲井は「決勝に進められたのは一番うれしいですし、粘り強い野球ができた」とマウンド上で右手を突き上げて喜んだ。

 大阪桐蔭戦でも2番手で3回1/3無失点と好投した仲井。準備はできていた。坂原秀尚監督によると、先発したエースの古賀康誠(3年)はブルペンから球が上ずっていたという。1点リードだったが2回の先頭から連続四球を与えたところで遊撃から仲井がマウンドに。3回に同点にされ、その後も何度もピンチを背負ったが、140キロ前後の直球にスライダー、スローカーブも駆使して粘り強く投げた。圧巻は7回2死一、三塁のピンチ。「絶対に点はやらない」と外角に141キロの直球を投げ切り見逃し三振。ガッツポーズで喜んだ。坂原監督は「彼の気持ちの強さに尽きると思う」と目を細めた。

 山口大会準決勝の南陽工戦。ピンチを迎えマウンドにいる仲井のもとに伝令が来たが、仲井は「俺が全部投げるから、と監督に伝えて」と突き返したという。坂原監督は「そういう気持ちの強さが欲しかったんです。(ベンチ前で)松尾をキャッチボールをさせていたのが、目に入ったんでしょうね」と話した。

 打線はプロ注目の近江・山田陽翔(はると=3年)対策としてバットを一握り分短く持ち、ボールが見えていない選手には「2ストライクからでも、三振してもいいので“待て”のサインを出しました。見えていないから1球待ちなさいという意味です」と指揮官。各打者がボールを見極めコンパクトなスイングを徹底し、6回2/3で降板した山田には132球を投げさせた。

 決勝の相手は仙台育英。山口県勢としては1958年の柳井以来、64年ぶり2度目の優勝をかけた大一番だ。仲井は「負けてしまったら意味がない。気を引き締めて戦いたい」。下関に深紅の優勝旗を持って帰る。 (杉浦 友樹)

 ◇仲井 慎(なかい・しん)2004年(平16)4月22日生まれ、兵庫県出身の18歳。小1で九会野球スポーツ少年団で野球を始める。中学時代は硬式の兵庫北播リトルシニアでプレーし、3年時に全国大会出場。高校では1年夏の県独自大会から背番号6でベンチ入り。1メートル77、70キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

この記事のフォト

2022年8月21日のニュース